■第41回定期総会決定 2010年昨年を振り返って

【2011. 7月 26日】

 

2010年度をふりかえって

 

 

 2010年度は、想像を超える災害、事件で国が揺らいだ年だった。民主党政権の迷走、とりわけ菅首相の決断力不足を指摘する声が目立った。現在も予断を許さない深刻な事態が続く福島第一原子力発電所の事故への対応には、非難が集中している。政府には、迅速且つ的確な対応が強く求められている。
災害への対応のみならず、多くの場面で日本の指導者たちの指導・統治力不足が表面化し、情報開示のあり方が問われ、国内は混迷を極めた。

2010年7月、新施策のアイデアを全国の厚労省職員から募集する「政策コンテスト」において、「保険医療指導監査部門の充実強化」策として、犯罪捜査のプロを活用する提案があった。表彰の対象外ではあったが、これは罪を犯していることを前提に指導が実施されるように解釈できる。厚労省の担当官から「この提案は悪質性の高い医療機関への対応として」と弁明があったが、そもそも指導は懇切丁寧に実施する、と指導大綱に記されており、この案はルールから逸脱している。さらにあってはならない事件が起こる。コンタクトレンズ診療所の指導・監査をめぐり、元特別医療指導監査官が、贈収賄容疑で大阪府警に逮捕された。職権を悪用し、調査や監査の対象から免れるよう便宜を図り、見返りに現金を受け取っていたのだ。行政当局に在籍し、指導監査に影響力を持つ人物が汚職事件で逮捕とは、真面目に診療を行っている保険医にとって、極めて憤懣やるかたない。

8月、高齢者医療制度改革会議は、問題となっている後期高齢者医療制度に代わる新制度の案を盛り込んだ中間まとめを了承した。しかし、この新制度は、高齢者の医療費が増えれば自動的に保険料が上昇する根本的な問題をそのまま受け継ぐものである。また、国は後期高齢者医療制度の廃止をきっかけに、国民健康保険の財政運営の都道府県単位化を実現するとしており、国民皆保険制度に対する責務を投げ出そうとしている。民主党政権は、自らが作成したマニフェストの原点に立ち戻る必要があるのではないか。

2011年1月、菅首相は年頭記者会見で、「TPP(環太平洋経済連携協定)加盟など、貿易自由化推進への意欲を示し、平成の開国元年にする」と表明した。TPP参加は保険、金融、労働力、貿易、サービスを自由化するものである。日本の医療に市場原理主義が持ち込まれ、混合診療解禁など国民皆保険制度の崩壊に繋がりかねず、協定参加は慎重を期すべきである。

3月、東日本大震災が発生。地震、および大津波により、東北地方太平洋沿岸部は壊滅状態に陥った。津波に襲われた地区一帯は瓦礫の山と化し、複数の医療機関が流失した。死者、行方不明者は約2万3,000人。群馬県内においても計画停電、ガソリン不足、日用品不足等で混乱が生じた。
大津波は、福島第一原子力発電所をも襲った。東京電力や政府の事故対応は後手後手に回り、大量の放射性物質を外部に流出させた。日本政府は、事故の評価を国際原子力事象評価尺度で「レベル7」(深刻な事故)とした。チェルノブイリ原発と同じ最悪のレベルである。「安全神話」は完全に崩れ去った。エネルギー供給をこのまま原子力に頼り続けるのか、原子力に代わる供給源を見出すのか、国民を主体とした議論が必要である。津波・原発被災者の支援についても政府は強力に推し進めなければならない。

同月末、2011年度の一般会計予算が92兆4,116億円で成立。2年連続して国債発行額が税収を上回る異常事態だ。国際競争力を高めることを理由に、税制改正法案に盛り込まれた法人税5%の減税については、「法人税引き下げで得た資金を何に使うか」という日本経団連の調べに対し「内部留保に回す」と回答した企業が最も多く、国内の経済活性化に繋がるとは考えにくい。また、社会保障財源の確保を口実とした消費税の引き上げは、内需を冷えきらせ、国家財政を悪化させるものではないか。

群馬県保険医協会は、県民および保険医のため、様々な活動を行ってきた。第41回定期総会にあたり、昨年度の活動を振り返る。

《医療保険制度改善運動》
・9月、受診実態調査を行い、結果をマスコミに資料提供した。
・9月、厚労省の政策コンテスト「犯罪捜査のプロを指導監査に活用」提案に対し、抗議声明を出した。
・10月、「社会保障費を大幅に増やし、医療・介護の拡充を求める10・21集会」に参加した。
・11月、医業税制、消費税に関する署名運動に取り組んだ。「診療報酬改善と税制改正にむけた要望書」には70名の会員が賛同した。「消費税の中止と医療はじめ生活必需品にゼロ税率の適用を求める請願」には77名の会員が協力し、487筆の患者署名を集めた。いずれも1月、本県選出の宮崎岳志衆院議員の事務所を通じて国会に提出された。
●総務部
・3月、東日本大震災被災地に対する募金活動を行った。210医療機関より626万5,000円が集まり、被災地に送金した。
・東日本大震災被災地支援活動のため、事務局1名を派遣した。
●研究部
・8月、富山県保険医協会主催シンポジウム「口から食べたいを支える口腔ケアと嚥下リハ」に参加した。
・9月16日、第2回「医療安全の確保」講習会
講師/佐藤貴彦氏(県医務課医療指導係)
安野朝子氏(群馬中央総合病院・感染対策室長)1部医療安全施策の現状と課題
2部最近の感染対策(95人参加)
・10月、保団連医療研究集会(東京)に参加し発表した。
・2月24日、第3回「医療安全の確保」講習会
講師/皆川さゆり氏(有限会社イマージュ・研修部長)
「医療事故・トラブルを防ぐための接遇応対」(117人参加)
●地域対策部
・「健康テレホンサービス」は25年目を迎えた。市町村広報でのプログラム紹介も継続され、年間利用度数は2,328本。上毛新聞社のホームページraijin.comに健康講話を提供、ウェブ上の健康相談も継続して取り組んだ。モニター通信は通巻269号を数えた。
・電話で直接対応する「健康相談」を月2回開催した。
・食生活を考える会は、地球温暖化問題を中心テーマに、6月、8月、9月、11月に開催した。
●審査指導対策部
・9月、埼玉県保険医協会理事・入交信廣先生を招き、「個別指導問題緊急勉強会」を開催した。
・11月、保団連・指導監査対策部担当者会議に出席した。
・3月、関東信越指導監査対策担当者会議に出席した。
●経営対策部
・雇用問題、開業相談、税務調査に関する相談にあわせ、「医院経営と雇用管理」「保険医の経営と税務」「保険医の税務調査」「新規開業医の手引き」など保団連発行の冊子を普及した。
●広報部
・隔月開催する部会で主要テーマを検討。「貧困と医療」を年間のテーマとし、連載記事を掲載。9月号では、経済的理由から治療を中断または中止する事例があったかを問うアンケートを実施し、集計結果をマスコミに公表するなど、問題を提起した。
●共済部
・各種共済制度は健全に運用された。グループ生命保険については、前年度保険料の46.39%を配当金として還元した。
・2006年に改正された保険業法に伴い、維持管理状態となった保険医休業保障制度について、存続を求める運動や国会議員への働きかけ等に取り組んだ。11月、衆・参議院本会議で保険業法の再改正法案が全会一致で可決成立し、一般社団法人化した場合の検証を開始した。
・年金制度のさらなる健全運営のため、2011年3月1日より日本生命と太陽生命を受託会社に加え、受託割合を見直し、リスク分散をはかった。
●文化部
・第19回保険医写真展を7月14日~19日まで開催、自由部門86点、課題部門「スポーツ」17点、撮影旅行部門23点の応募があった。会長賞を新設し、小山敦「気合だぁ~!」(前橋市・小山歯科医院)が受賞した。
・1月21日、大相撲初場所観戦バスツアー(東京・両国)を実施。(12人参加)
・第11回撮影バス旅行(長野県・白馬村)を5月22日に実施。(23人参加)
●会員拡大部
・協会活動の宣伝に重点を置き、新規開業医に案内、年3回全県の開業医に群馬保険医新聞を配布しPRに努めた。

《歯科会》
・歯科会を毎月開催し、歯科版を季刊発行した。
・9月、保団連の若手医師・歯科医師の集い(福島)に参加した。
・10月、第17回体験アイデア発表交流会を開催。スタッフ発表6演題。特別講演は内山茂先生「長期経過症例から炎症と力のコントロールについて考える」。群馬大学刀城会館を使用。(137人参加)
・11月、医科向けのビスフォスフォネート薬剤関連ポスターを医科会員に配布した。
・1月、「月刊保団連臨時創刊号―特集海外技工問題」を群馬県歯科技工士会に配布した。
・歯科保険あれこれ相談をすすめた。

《院内だより共同編集事業》
・病気についての指導、患者とのコミュニケーションをはかるため、20の医療機関が参加し、隔月発行している。通巻146号を数えた。5月に編集会議を開き、年間の執筆テーマを検討。原発事故を受け、放射性物質の環境や人体への影響について、患者にわかりやすい内容の記事を多く入れる。

                                                       以上