新年のごあいさつ

【2019. 1月 15日】

新年を迎えて

群馬県保険医協会
会長 清水信雄

会員の皆様におかれましては、穏やかな新年を迎えられたことと思います。

昨年来、社会の模範あるいは規範となるべき立場の人物や団体による、自らの信用を失うような言動が紙面を賑わしています。
国内では、森友学園、加計学園疑惑に始まり、官公庁の障害者雇用の水増し問題、自動車会社をはじめとする検査の不正報告、CEOの不正疑惑と、社会に影響力があるからこそ、失った信用は計り知れません。       これは、国民が自らの義務を守ろうとする意欲を減退させてしまいます。
医療の現場では、その根底に患者側と医療機関側の信用、信頼関係は不可欠です。何かあれば訴えようという姿勢、そして事が起こらないような自己防衛的な姿勢からは、心のこもった医療は望むべくもありません。
一方海外に目をやれば、国際的に力を持っている国による、そしてその国の方向性に影響力を持っている人たちによる保護主義、権力主義、個人主義的な言動が目につきます。別の見方をすれば、自他の「違い」が不自然に強調されているように思えてなりません。
私たち人類は、20世紀に第一次、第二次世界大戦という悲惨な過ちを経験し、そしてこの教訓を忘れまいと努力してきたはずです。そして実際、この「違い」を克服した画期的な出来事も生まれました。
ドイツ統一やEUの誕生は、まさにその象徴的な出来事でした。双方とも、私が生きている間には実現するとは思ってもいませんでした。
そして21世に向かい、人々は世界から紛争や暴力、飢餓がなくなるであろうと、明るい未来を期待していました。
しかしどうでしょうか、現実はその夢とはかけ離れ、それどころか、また新たな国家間の危機まで懸念されています。
唯一の被爆国である日本が、国連の核兵器禁止条約の批准に反対し続けている事実も残念でなりません。
国家間、民族間、職種間、そして組織におけるヒエラルキー間の格差が大きくなるほど、紛争のエネルギーが蓄積し、社会や集団は不安定な状況に晒されます。
さて、私たちが携わる医療では、地域包括ケアという概念が定着しつつあります。国が安上がりな社会保障のために制定したシステムという側面は今でも否定できません。しかし、患者を主体として、職種間、各科間、医療と介護間で情報を共有し、患者にとってのより的確な対応に繋がれば、その意義は大きいと思います。つまり使い方次第でもあるのです。
日本の医療保険制度は、根底に格差=違いの排除があります。だれでも同一費用で一定の医療が現物として享受できる、これは文句なしに素晴らしい制度であり、そのことは海外からも高い評価を得ています。医療に携わる者は、医療を通して格差をなくす努力をしなくてはなりません。
「この制度を守るために」という大義名分の下、厚労省による適用除外や、給付基準の見直しがなされることもしばしばあります。
私たちは真に「この制度を守る」運動をしていく所存です。
本年も、協会の活動と運動にご理解とご協力をお願いいたします。

■群馬保険医新聞2019年1月15日