オンライン義務化撤回求めて国会行動
条件つき免除では解決しない
●群馬選出議員を訪問
厚生労働省は10月10日、レセプトオンライン請求義務化の一部見直しを内容とする省令改正案を発表し、パブリックコメント(意見募集)を公示した。
この省令改正案は、政権与党となった民主党が先の総選挙での公約「『完全義務化』から『原則化』に改める」とのマニフェストに対応した措置で、これまですべての医療機関を一律対象としていた義務化を、
①手書きレセプトで、医科は年間レセプト数が3600件以下、歯科は年間2000件以下のものは義務化を免除。
②常勤医師がすべて65歳以上である場合等は義務化免除。
③電子レセプトに対応していないレセコンの医療機関ではリース期間が終わるまでの間、最大平成26年度末まで義務化を猶予する。
(図参照 というもの。
この省令の一部見直しに対し医療界はこぞって反対し、マニフェスト違反だ、原則化とは手上げ方式のはず、新政権と厚労相は問題の重大さが分かっていない等々、医師会、歯科医師会からも強い批判の声があがっている。
群馬協会では、県内14人の原告と役員有志がパブリックコメントを提出。10月22日に保団連が行った国会議員への要請行動と「レセプトオンライン請求義務化撤回を!」と題した緊急国会内集会に事務局二名を派遣した。
この緊急国会内集会には全国から150人の参加があり、与野党の国会議員88、秘書26人が出席。マスコミは共同通信、日本医事新報、じほう、キャリアブレイン、薬事ニュースが取材した。
●国会での議論を
集会では各地の参加者からオンライン化で生じる負担で廃院を迫られる医師・歯科医師の実態や、情報漏洩の不安が語られ、「患者、保険医に大きな影響を与える請求義務化を省令一つで決めてしまうことは憲法違反。国会で取り上げるよう国会議員の方々にお願いしたい」。
また「民主党は義務化撤回の公約を実行すべきだ。個人を国が総管理する社保カード導入、社会保障個人会計を阻止するためにも、オンライン請求義務化は完全撤回を」など各党の議員を前にした発言があった。
また横浜での義務化撤回訴訟弁護団長からは「政府・厚労省は、国民の生活権を脅かし地域医療を崩壊させる制度設計について、国会の議論を回避し、国民の目に問題点を触れさせないようにしている。オンライン請求義務化が憲法に違反することを裁判所に判断してもらうため全力を注ぎたい」との発言があった。
●議員8人が出席
参加した国会議員からは、「皆さんの気持ちや、要求の趣旨はよく理解している」(民主)、「医療政策での現場無視を改め、現場主義を貫くべきだ」(社民)、「請求義務化が医療費抑制のためのツールであることをクローズアップさせるべきだ」(共産)、「手上げ方式に改めるよう厚労委員会で頑張りたい」(民主)、「党の政策に対して厳しい指摘をいただいた。皆さんの訴えは理解している。今後も連携していきたい」(民主)、など発言があった。
集会は「レセプトオンライン請求を『原則化』に改めるとした政権公約の誠実な実行を望む」とのアピールを採択し鳩山首相、長妻厚労大臣他政務三役に送ることをきめて終了。
閉会の挨拶にたった住江保団連会長は、「今回の省令改正案では、患者の個人情報漏洩の問題や、医師の裁量権を無視した医療標準化の問題、また個人データの民間資本による営利活用や、憲法違反の諸問題について、何ひとつまともに答えるものではない。本日のアピールに従い、断固として義務化撤回を要求する」と述べていた。
集会に出席した国会議員は次の通り。(順不同)
谷 博之参議院議員(民主)
松崎哲久衆議院議員(民主)
阿部知子 〃 (社民)
高橋千鶴子 〃 (共産)
首藤信彦 〃 (民主)
吉田統彦 〃 (民主)
初鹿明博 〃 (民主)
高邑 勉 〃 (民主)
■群馬保険医新聞2009年11月号