【レポート/厚生局群馬事務所の点数改定説明会】
「指導強化」打ち出す
◎施行前日の説明会
関東信越厚生局群馬事務所から、2010年診療報酬改定(医科歯科)説明会の開催案内が届いた。医科は3月30日(火)14時30分から、歯科が3月31日(水)14時30分からの2時間である。
4月1日施行の改定内容の伝達が前日とは驚きを隠せない。通知には、人数制限があり、診療所ごとに管理者(医師、歯科医師)1名の出席を求めている。
群馬県保険医協会には、会員から説明会の開催日時について意見や質問が相次いだ。協会では会員の声を伝えるため、3月11日に要望書を携え関東厚生局群馬事務所を訪問、担当者と懇談した。
【要望書 主旨】
1、説明会の開催が診療時間帯に重なり、救急医療に対する医療機関の機能が麻痺する状態を看過できない
2、 4月からの新点数体系を説明する機会としてはあまりに遅い開催で、医療現場に対する配慮が甚だ不十分といわざるをえない
3、当方の問い合わせでは、この説明会は欠席してもペナルティはないとの話だったが、通知の文面にはそのような説明が一切ない。行政上の圧力を感じる
今後このような説明会等の開催にあたっては「懇切丁寧」に指導を行うとの原点に立ち返り、現場で診療にあたる者の責任をお汲み取りいただき、十分な配慮をお願いしたい。
具体的な要望項目は次のとおりである。
1、今後は、集団指導という表現を削除し、「改定時の説明会」として下さい
2、参加は任意であり、不参加でもペナルティはないことを通知に明記して下さい
3、説明会は、診療報酬改定への準備のための猶予期間を十分にとり、また医療機関の広域的な機能が麻痺することのないよう、日時を設定して下さい
要望書提出後の懇談で、厚生局群馬事務所は、「集団指導として実施するが不参加でもペナルティはない。これは厚労省の方針で、群馬事務所としては関東信越厚生局からの指示に従わざるをえない」と説明。改定説明会の内容については、厚労省ホームページで3月5日に告示した内容と変わらない、ということであった。
◎歯科説明会に参加
欠席してもペナルティは課さないとされたが、受付での参加者チェックは欠席したらどうなるのかと一抹の不安を感じさせるものだった。
事務方が、健康保険法第73条、船員保険法第59条、国民健康保険法第41条及び高齢者の医療の確保に関する法律第66条の規定により実地される集団指導であると宣言して説明会が始まった。厚労省のホームページにあった改定内容が配られ、四家秀雄指導医療官の説明は簡潔だった。そして話は指導や歯科医療経営にまで及んだ。
【指導医療官の話から】
1、厚労省との共同指導を十月に実施する
2、4月1日からは、きっちり自主返還させる
3、複数の歯科医師が診療に 携わる場合、カルテ記入、レセプト請求まで各歯科医師の責任の所在をはっきりさせること
4、本部を持つ体制で訪問診療する場合、診療内容をカルテ記入し、レセプト請求まで責任の所在をはっきりさせておくこと
5、院内安全対策は全医療機関に求められている
6、業務範囲の注意
7、審査の公平性について 等々
歯科の説明会は終始和やかだった。「パノラマなど必要ない。自分の出来る範囲で治療すればよい。患者がゼロでも、良い気持ちで余裕を持って診療すること」との話には、会場のあちこちから苦笑も…。四家指導医療官は、歯科医師を罰するのではなく、役に立ちたいとの意向を強調し、診療内容や診療請求に関しての疑問、質問は厚生局群馬事務所まで遠慮なく相談するよう話している。
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群馬県保険医協会の点数検討会は3月25日と28日に開催したが、会場アンケートで、厚労省ホームページの閲覧について質問したところ、確認したのは17%、確認していないが84%だった。厚労省のホームページによる告示で周知徹底を図るには問題が残りそうである。
当協会研究部では、今後も指導医療官を招いた診療報酬検討会の開催を企画している。(副会長・小山 敦)
■群馬保険医新聞 2010年5月号