新点数で現場混乱 ―疑義多く解釈発表にも遅れ
協会では2010年診療報酬の改定に伴う新点数検討会を3月末、県内2カ所で開催したが、分かりやすかったと好評である。
今回の改定はレセプト請求の電子化や在宅医療への誘導などが露骨に盛り込まれており、点数の変化増減のほかに療担規則改定による明細書発行、地域医療貢献加算など多くの項目で、白本、青本等の解説本の文面では読み取りにくい「取扱い」に関し、数多くの疑義が発生した。
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新点数検討会から1カ月間、協会事務局には会員からの質問、問い合わせが相次ぎ、各医院での混乱ぶりがうかがえる。4月中に群馬協会事務局に寄せられた疑義は約80件あり、これまでの改定時の相談数に比べかなり多い。全国でも同様で、この事態に対し保団連は、この運用は異常、中医協の議論をより充実させ、医療機関が理解できる内容で告示を行うべき。また実施に無理のないよう十分な周知期間を確保するよう抜本的な改善を求める方針だ。
全国の協会が行った新点数検討会で出された疑義は整理すると530件を超す。異例の多さだという。保団連ではこれを絞り込み、厚労省当局に確認をとるなどして、改定後混乱なく会員が診療に専念できるよう医科向けに『新点数運用レセプトの記載Q&A』の発行を予定していた。
疑義の多さ、解釈発表の遅延などにより難航したが4月20日に完成。群馬協会では23日医科会員あてに無料発送した。ぜひ各医院でご活用いただきたい。
◎明細書=算定しなくても無償発行は義務
四月中、協会事務局に寄せられた質問で最も多かったのは、明細書の発行義務にかかわる件。レセプト電子化への対応により届出や院内掲示も異なり、加算の1点を算定しなければ明細書の発行は不要と理解する会員が多く見受けられた。今後も思い違いのままの医院が危惧される。
新点数検討会での説明の繰り返しとなるが、「明細書の無償発行の義務化」判定チャートを掲示するので、これを参照し、もう一度ご確認いただきたい。(図は新点数検討会で使用したテキスト「点数表改定のポイント」682頁)
明細書義務化チャート ←クリック
◎患者を選べない地域医療貢献加算
次いで多かったのは地域医療貢献加算。診療所の再診料が引き下げられ、病院勤務医の救済を狙ったとされるこの加算の不十分さ、曖昧さに会員からは怒りの声が寄せられた。
質問の多くは「この加算は対応が必要と考えられる患者のみに限定してよいか」というもので、回答は「すべての患者の再診料に加算することになるため、患者を選択することはできない」だが、点数表の解説本では理解しにくい取扱いである。
「小児科外来診療料には再診料がない。地域医療貢献加算は算定できるか」との質問も多く寄せられた。回答は「小児科外来診療料には再診料が含まれているため算定できない。ただし電話再診の場合は再診料を算定するので加算できる」というものである。
再診料に関しては外来管理加算について、「お薬受診」の場合の算定の可否を尋ねる質問も多かった。
入院関係で多かったのは、入院中の患者の他医療機関の受診である。「これまで当院で治療していた患者が入院し、入院先から薬が終わったと来院したらどうするか」との質問だ。この件については、4月23日お届けした「新点数運用Q&A」第1部の冒頭に詳しく説明されているので、ご一読いただきたい。
協会では引き続き質問相談を受け付けている。お気軽にご活用いただきたい。(審査指導対策部)
■群馬保険医新聞 2010年5月号