「PDF、ファイル、ダウンロード…… 」最近よく目にするパソコン用語だ。この言葉に違和感を覚えるのは私だけだろうか。
先日、厚生局から酸素の購入価格の届出がされていないと連絡があった。毎年、届出時期になると郵便で書類が届き、必要事項を記載し提出していたのだが、今年は送られてこなかった。厚生局群馬事務所に問い合わせると「今年からインターネットのホームページにある必要書類のPDFをダウンロードして提出していただくことになりました」との回答。もちろん、これまでどおり郵送やファクスでも対応すると親切に教えてくれた。その時、インターネットはどのくらい普及しているのかを聞いてみたが、把握していないようだった。県にも同じ質問をしたが、情報政策課に回され、総務省のホームページを案内された。その情報もインターネットからということだ。
■群馬は全国平均以下
総務省調査の平成21年「通信利用動向調査」によると、22年末、インターネットの利用者数は9462万人、人口普及率(利用率)は78.2%と推計され、かなり高率とのイメージを受ける。年齢別の利用率を見ると、高齢者層では低いが、年々ポイントの増加が認められる。普及の全国平均は59.4%。東京70.1%、神奈川70.7%、群馬では55.7%と全国平均にも到達していない(18年調べ)。
群馬県保険医協会の医師・歯科医師の会員は、30歳代4.3%、40歳代17.2%、50歳代33.5%、60歳代26%、70歳代12.9%、80歳以上が6.2%で構成されている。下に示したインターネット利用率のグラフに照らし合わせても、周知徹底する媒体として主流になるには、問題が残ることがわかる。すべてをインターネットに委ねるのは、時期尚早ではないか。
ある調査によると、インターネット利用目的の約六割は、企業・政府等のホームページ、ブログの閲覧で、電子政府・電子自治体の利用(電子申請、電子申告、電子届出)は5%に満たないという。
事務職を置く診療所であれば、開設者の年齢に関わらず、インターネットを閲覧し、届出をすることもできるだろう。歯科診療所では医療事務職を置かない場合が多く、開設者の年齢によっては不利として働くのではないか。
■ネットだけでは不十分
届出だけでなく、診療報酬改定時の告知内容から改定後の解釈なども厚労省のホームページを閲覧できるようになっている。群馬協会が昨年行った会員アンケートで「診療報酬改定時に厚労省ホームページを閲覧したか」の問いに、「した」と答えたのは、わずか16.7%だった。
インターネットは、多様な情報を即時に発信、入手できるという点で圧倒的な力を持っている。しかし現段階で郵送での通知の中止やインターネットからの情報発信だけで届出や改定内容の周知徹底を行うことは、情報格差を招きかねない。
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とはいえ、すでにパソコンを避けて通ることはできなくなっている。医療従事者として、厚労省や関東信越厚生局のホームページを閲覧する日々から逃れられない時代に突入した。インターネット以外での情報の発信を求めながら、私たち自身も対応できる力を身に着けなければならない。まずは群馬県保険医協会ホームページの閲覧から始めてみてはいかがか。
(副会長・小山 敦)
■群馬保険医新聞2011年7月号