ここまできた医療崩壊/シンポジウムに57人参加

【2008. 2月 07日】

 市民、行政と連帯して医療崩壊をくいとめよう

  ◎シンポジウムを開催
 開業医と病院勤務医、市民の情報交換の場を作ろうと、1月24日県生涯学習センターでシンポジウム「ここまできた医療崩壊」を開催した(第167回定例研究会、研究部主催)。
 シンポジストは桐生厚生総合病院・竹内東光副院長(小児科)、利根中央病院・糸賀俊一副院長(産婦人科)、開業医の立場から今井昭満医師(産婦人科)、コーディネイターは柳川洋子副会長。
 会場には医師、歯科医師、医学生、病院・診療所スタッフをはじめ、行政、市議会議員、上毛新聞等の案内を見たという市民も加え、57人が集まった。
 シンポ直後に感想が寄せられたので一部を紹介する。

  0801241.jpg

   ◎安心して住める郷土に  
 今日の医療界は本当に危機的な状況にあるのがよく理解できた。総合病院が医師不足により診療科目の縮小や閉鎖を決めたり、不採算部門を廃止した結果、産科や小児科が激減しているという。人生の最初の段階で一番お世話になる産科と小児科が身近になければ、安心して自分の子供を「生み・育てる」ことはできない。子供の数が少なくなれば、結果としてその地域は衰退する。現に私の仕事、教育の現場でも、児童数の減少で働く場所が減っている。
 私たちの生活を支えている医療現場がこのまま崩壊していったら、本当に「安心して住める郷土」と言えるのだろうか。医療崩壊の問題には、今後医療界だけにとどまらず、いろいろな職域の人々を巻き込んで、社会全体で考えていく必要があると実感した。(高校教師 塚田元樹)

  ◎シンポに参加して 
 医療崩壊の現状についての認識を深めることができ、このままの状況が続いてしまえば、大変なことになってしまうという思いがいっそう強くなりました。
同時に、この医療崩壊を「なんとかしなければ」という力が大きくなっているのではないかと感じました。
 緊急に必要とされる医学部定員増にむけては、教育者であり医師である教官の多忙化、大学・大学病院予算の困窮など、今の医学教育の現場の抱える困難にも目をむけていくことが必須であると思いました。現在、医学教育改革が進められていますが、私自身、医師としての将来を考える機会が少なく、試験という目の前の課題ばかりにとらわれてしまっていると感じています。 
 女性医師問題についても、医師として厳しい労働に耐えうるのだろうか、医師として働きながら結婚や出産・育児はできるのだろうかと漠然とした不安を私自身も感じています。医師だけでなく、看護師などすべての医療スタッフが働きやすい病院づくりは重要だと思いました。(群馬大学医学部3年 宇敷 萌)
          *
なお、研究部では医療崩壊対策シリーズとして以下の研究会を予定。いずれも会場は県生涯学習センター。
〇シンポジウム「ここまできた医療崩壊」第二回目“徹底討論”3月13日(木)午後7時から
〇歯科・新点数検討会/3月23日(日)午後1時30分から、協会講師団
〇医科・新点数検討会/3月25日(火)午後7時30分から、協会講師団
〇日本福祉大学教授・近藤克則先生特別講演会/5月25日(日)午後1時30分から
    
■群馬保険医新聞08年2月号