オンライン請求義務化で60歳以上の24%が閉院
-会員アンケートからー
協会ではレセプトオンライン請求義務化により閉院する医療機関が出てくれば、少なからず地域医療の崩壊を促進すると、「義務化」撤回を求めて署名活動や国会要請行動に取り組んできた。1月には現場の実情を把握するため会員アンケートを実施。保団連の提起に応えたもので、10日あまりで290人から回答が寄せられた(回収率32%)。
◎レセコン導入は九割
レセコンは91%(歯科77%)が導入していた。しかしオンライン請求については、「対応できる」は44%(歯科30%)で、「対応できない」が24%(歯科29%)、「分からない」が31%(歯科41%)だった。
◎導入費用が障害に
オンライン請求が義務化された場合、開業医を続けるかとの問いに、「やめる」と答えたのは、全体の11%(歯科7%)だった。60歳以上では4人に1人、70歳以上に絞れば2~3人に1人が閉院すると答えている。
閉院理由は、
〇新システム導入の費用に見合うだけの収入がない、費用を用意できないが最も多く、
次いで、
〇新システム操作に対応できない
〇新システムに対応するための人員確保が困難
〇器機等の設置場所が確保できない
と続く。「新システム導入には380万円かかり(ヤマダ電機調べ)、高価すぎる」と意見が添えられた回答もあった。
◎まだ働きたいが…
アンケートには155人がコメントを寄せている。大半の意見は、次の四つに集約できる。
1、選択の余地を残すべき。
2、義務化するなら、それに伴う費用(機器・ソフト、人件費等)の補助が必要。
3、個人情報は守られるか。患者にメリットはあるのか。目的を明確にせよ。
4、医療内容への国家介入(医療費削減)が強化される。
義務化されれば閉院すると答えた高齢の医師たちは、「老いぼれ開業医なんか消えてなくなれという制度」「必要経費が少ないからこそ、赤ひげ的にやっと続けてきた」「まだ多少は地域医療のお役に立てると思うが…」と、理不尽さをにじませる。
こうしたベテラン医師たちに引退を強要するような「義務化」には、断固反対していきたい。
■群馬保険医新聞2008年2月号