後期高齢者診療料の届け出、算定は見合わせましょう!

【2008. 4月 22日】

  後期高齢者診療料の届け出、算定は見合わせましょう!

 4月から導入された「後期高齢者診療料」について、4月理事会で協議した結果、群馬県保険医協会は会員諸先生に届け出および算定の見合わせを訴えることになりました。
 
 今回の診療報酬改定で新設された「後期高齢者診療料」には次のような問題があります。

1)月600点という点数で、指導管理、処置、検査、画像診断が包括され、急性増悪月にも診療料以外には550点以上の処置、検査、画像診断しか算定できません。現実の診療内容から見て低額の包括払いです。

2)算定患者には3カ月~1年の治療計画書を交付し、さらに月1回は別に診療内容を示した文書を交付しなければなりません。加えて、他院での受診状況、服薬状況などを管理し、専門外等の理由で他院を受診させる際には情報の文書提供が必要です。

3)この算定患者については、他の医療機関が後期高齢者診療料を算定することはできません。それだけではなく、厚労省の「主病は一つ」という指示に従えば、「特定疾患療養管理料」も算定できないことになります。これは地域の医療機関の相互信頼関係を損ねる恐れがあります。

4)保険医の専門化が進む現在、一人の医師が患者の全身をくまなく指導、管理することは困難です。患者の希望に添えない事態が発生する恐れもあります。

5)受診状況や点数算定状況などを、高齢の患者から聴取することは困難です。それが患者と医療機関の信頼関係を損なう恐れがあります。

6)この診療料の届け出、算定が多ければ、国民から批判の強い後期高齢者医療制度や「主治医制」を容認することになります。

 後期高齢者診療料の届け出、算定は、保険医の相互信頼関係をそこない、地域連携に問題をもたらすかもしれません。開業医に「早い者勝ち」「囲い込み」競争を行わせ、「主治医制」に踏み出し、高齢者の医療費を抑制しようとしています。また中医協は、後期高齢者診療料の届け出、算定状況を今後の検証項目に挙げており、届け出、算定が多ければこの改定が是認されたとみなされ、他へも広げられる危険性が高くなります。
 すでに山形県医師会、茨城県医師会、長崎県医師会をはじめ、全国各地の医師会、保険医協会が後期高齢者診療料の届け出、算定の見合わせを表明しています。みんなが届け出、算定をしなければ、みんなが今まで通りの診療、請求ができ、何の問題も生じません。
 会員諸先生におかれましては、これらの点を熟慮いただき、後期高齢者診療料の届け出、算定を見合わせるようお願いいたします。

  2008年4月9日

                                                                        群馬県保険医協会 理事会