昨年の医療法改定で診療所でも「医療安全の確保」が義務化されました。施行1年を経過し、08年診療報酬改定では歯科において「歯科外来診療環境体制加算」が新設され、届出の施設基準のひとつに「医療安全に関する研修」が義務づけられました。
医療の安全は、本来なら行政の問題ではなく、医師・歯科医師個人が責任を持って行う問題、または医療機関のひとつのシステムとして捉えるべき問題ですが、系統的に勉強する機会を設けてみようというコンセプトで5月11日講習会を開催しました。
◎第1部/医療安全義務の法的背景と医療事故対策
法律の体系と経緯、医療事故の実際、ヒヤリハットへの対応など、前群馬県健康福祉部医務課次長、山口悟先生が講演。「患者さんに選ばれる病院・診療所になれ等と言われるが、その前提になるのは、まず職員に選ばれる病院・診療所になること」との提言は重要だと思いました。
◎第2部/偶発症に対する緊急時の対応
日本歯科麻酔学会認定医・植田歯科医院長、植田 晋矢先生が講演。「即時対応の重要性」「AEDがあれば助けられる命がある! ひとつの命の尊さ・素晴らしさ」「院内だけでなく誰にでも命を救うことが出来る器機AEDを普及させよう」という主張に感銘しました。
◎第3部/感染症対策等の医療安全対策
日本の感染症の現状と対策の方向性、スタンダードプリコーション(標準予防策)の重要性、具体的感染予防法など、群馬大学附属病院歯科口腔外科医局長、狩野証夫先生が講演。「相手にしているものは…かなり沢山ある」「基本の再確認が重要…そして、日々進歩する新しい考えや対策に関心を持ち即応してゆく努力が必要」ということは特に重要だと思いました。
全ての質疑応答終了後、修了者代表として会員の中島 和敏先生に小板橋会長から受講修了証が授与され閉会となりました。また会場にはセキムラ(株)の協力で、AED(自動体外式除細動器)・酸素吸入器・蘇生バック・パルスオキシメーター・自動血圧計・生体情報モニタ・衛生管理用オゾン水生成器等が展示され、実際に手に取って器機の理解も深めることが出来ました。
実質的な研修をめざして取り組み、素晴らしい講師に恵まれ、良い講習会になったことを感謝しています。(研究部・大国 仁)
■群馬保険医新聞 2008年6月