保団連夏季セミナー報告

【2008. 8月 12日】

   実り多かった保団連夏季セミナー
   
                         副会長 柳川洋子

 保団連の夏季セミナーに初めて参加しました。1日目の講演、2日目の分科会とも大変力強い内容で、参加者の熱気と熱心さに感心しました。
 5月に群馬で開催した近藤克則先生の講演会で、日本の医療はヨーロッパ型を目指すべきか、米国型を目指すべきかが講演のポイントになりましたが、米国型を取ったときの惨状が堤美果氏の記念講演「貧困大国アメリカの現実と変革への流れ」で、非常に具体的に示されました。
 医療問題にとどまらず、イラク戦争の民営化、貧困層の高校生たちや若者の悲惨な状況、帰還兵たちの実態が示されました。堤氏は若く美しい女性のフリージャーナリストですが、異国の地で危険を伴う数々のインタビューを試みています。彼女をここまでのめり込ませたのは、彼女自身が遭遇した9.11テロがきっかけであり、その後のブッシュと米国の暴走を目の当たりにしたためだったのではないでしょうか。
 彼女の強さは、悲惨だ、希望のない状態だと告発するだけに止まらず、この状況を変えるための具体的な戦術を提起し実際に実行している点です。その戦術は、相手を敵として攻撃し破壊するこれまでの男性的な戦術ではない点に非常に興味をひかれ感動しました。憲法を武器とする、政治、企業、メディアをどうやって教育し育ててゆくかなど大変参考になる実践者の戦術でした。
分科会では、女性部から開業女性医師の労働実態調査の報告や、他種職の女性部との連携など諸活動の報告がありました。働く医師の労働環境の劣悪さは特に勤務医で問題になっていますが、勤務医対開業医、男対女と敵対することなく、連携が重要だという意見でした。また各保険医協会の勤務医部会の立ち上げに努力する必要があるという意見が多数あがりました。

■群馬保険医新聞2008年8月号