無保険の子どもに短期保険証交付
◎改正国民健康保険法が成立、四月施行
12月19日改正国民健康保険法が成立した。長期間保険料を滞納している「資格証明書」世帯でも、4月から中学生以下の子どもに6か月間の短期保険証を交付する。厚労省がこれまで実態さえ把握していなかったことを考えると急転直下の法改正だった。
10月末に厚労省が公表した実態調査では全国に保険証のない子どもが3万3000人いる。50年の歴史をもつ国民皆保険は崩れていた。
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調査によれば、群馬県には保険証のない子どもが1500人いて、全国で7番目に多い。太田市499人、前橋市の479人が目をひく。
無保険=資格証明書を発行するかどうかの判断は市町村によるばらつきがある。保険料を滞納している世帯は大泉町が44.4%と飛び抜けて多く、滞納世帯が2割以上いるのは太田市(24.9%)、藤岡市(22.2%)、安中市(21.9%)だった。
一方、資格証明書が交付されたのは、大泉町で滞納世帯の5.6%(158世帯)だったのに対し、前橋市では53.6%(2429世帯)。六町村が資格証明書を交付していない。(群馬県内の資格証明書発行状況 厚労省調査から作成 クリック→ 09013.pdf )
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こうしたなかで、県内でも子どもだけが使える保険証を発行している市がある。全国で「国保法に抵触するかもしれない」と不安を抱きながら住民福祉を優先させた自治体が多かった。
調査が行われた9月15日現在で、子どもがいる滞納世帯には保険証の返還を求めていない市町村が986、全市町村の55%にのぼった。地方の取り組みが今回の法改正を後押しした。
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今回の一律救済は市町村によるばらつきを解消した。しかし6か月という期限が切れたとき滞りなく保険証が交付されるのか、対象からはずされた高校生はどうなるのか、残された課題も多い。少なくとも独自に救済策を講じてきた市町村の取り組みを後戻りさせてはならない。
■群馬保険医新聞2009年1月号