義務化は憲法違反 ― 「オンライン訴訟」961人が提訴
レセプトオンライン請求義務化撤回訴訟がスタートした。1月21日横浜地方裁判所に提訴したのは35都道府県の医師・歯科医師961人(医師708、歯科医師253人)で、この日までに書類の整った第一次原告団。予定される第二次提訴も合わせると1200人(群馬からは15人が参加)が原告団に名を連ねる予定だ。
提訴後、原告団の平尾紘一代表(神奈川県保険医協会会長)、田辺幸雄弁護士らが神奈川弁護士会館で記者会見し、訴訟の目的や争点を説明した。
平尾団長は「オンラインしか認めないのはおかしい。形を変えた保険医定年制ではないか」と話し、田辺弁護士は国を相手に憲法違反であることを追及する裁判であること、レセプトオンライン請求義務化の問題点として、
1、各地の保険医協会が行ったアンケートで1万4000件の医療機関から回答を得たが、義務化が実施された場合、医科で12.2%、歯科で7.2%が廃業すると答えており、地域医療にとって大問題
2、レセプトオンライン実施には高額な費用が必要で、全て医療機関が負担しなければならない
3、情報の漏洩があった場合は、医療機関が責任を負わなければならない
ことなどを指摘。裁判の争点は、レセプト請求をオンラインにする義務はないことを確認し、義務化による精神的苦痛に対する国家賠償を求めることであると説明した。
その法的根拠は、
1、政令で義務化を決めており、国民に義務を課すことは国会で議論し決定すべき(41条違反)
2、職業営業の自由を侵す(22条違反)
3、プライバシー侵害
の3点としている。
原告団の一人、入澤彰仁氏(神奈川協会保険診療対策部長)は、「中小零細開業医を救い、レセプトオンライン請求義務化で廃業する医師を一人も出さないという戦いで、省令の撤回を求めたい」と決意を述べた。初公判は3月末か4月になる見込み。
■群馬保険医新聞2009年2月号