【研究会】前橋日赤の病診連携を学ぶ 

【2009. 2月 16日】

 第173回定例研究会  前橋日赤の病診連携を学ぶ

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 1月22日、生涯学習センター視聴覚室で第173回定例研究会を開催した。今回のテーマは「前橋赤十字病院における病診連携」、講師は同病院の宮﨑瑞穗院長。昨年に引き続き医療崩壊関連の話題を柱とした研究会だ。
 参加者は40人を超え盛会だった。群馬中央総合病院、桐生厚生総合病院、伊勢崎市民病院の各地域医療連携課、県立小児医療センターからの参加者もあり、各病院が「病診連携」の可能性に期待を込めていることが窺えた。
 
 ◎診療所との連絡を密に
 講演の中で宮﨑院長は理想的な連携を構築するには、病院側は紹介元への返事、逆紹介(お戻し)を徹底し地域の信頼を得ることが重要であり、その後は「紹介された」「返した」という意識ではなく、一緒に診ていくという共同診療の意識を持ち続けなければならないと強調。また、「地域の開業の先生方には日赤を積極的に利用してほしい」と要望した。
 
 ◎患者に共同診察カード
 同じく地域連携課・須賀一夫課長は医療機関サイドだけでなく、患者さんにも「病診連携」への理解を深めてもらうことが必要であると述べた。例えば「日赤と縁が切れるわけではない」という意味を込めた〈共同診察カード〉を患者さんに発行し、安心して地域の診療所で診てもらえるような工夫をしている。
連携が軌道に乗りつつある一方、問題点も明らかになってきている。空きベッドの情報がすぐ把握できるよう高額なシステムを開発したものの、リアルタイムで情報が更新されずシステムを生かしきれていない、夜間・休日に救急外来を受診し、緊急性がないと判断された患者からは時間外料金3990円の徴収を始めたが、トラブルが若干ながら発生している等、課題が残るのも事実。病院・診療所・患者それぞれの間で情報を完全に共有しきれていないためだ。
今後、より一層の病院・診療所・患者間での時間をかけたコミュニケーションが求められる。

■群馬保険医新聞2009年2月号