【報告】保団連で女性医師・歯科医師学習交流会

【2009. 4月 21日】

     「摂食嚥下」が医科・歯科の接着剤に

        副会長 柳川洋子
  
 年一度開催される保団連の女性医師・歯科医師学習交流会が3月15日新宿農協会館で開かれ、太田理事とともに参加してきた。
 午前中は、長崎リハビリテーション病院・栗原正紀院長(写真)の講演「口のリハビリテーションのすすめ」。講演要旨を簡単に紹介してみよう。
 …口腔医学はこれまで歯科医からも、消化器内科からも、呼吸器科からも、耳鼻科からも継子扱いされ、まともに取り組まれてこなかった。しかし高齢者にひとたび摂食嚥下障害が起これば、誤嚥性肺炎、低栄養状態となり命を長らえることは出来ない。
 口のリハビリは呼吸、摂食嚥下、構音を重視することであり、そのことがとりもなおさず人の尊厳を守ることになる。口から食べるためには、首がぐらぐらしない状態で座れなければならない。なるべく早く寝たきりの状態から座れるようにリハビリをする必要がある。  
 現在の医療はあまりにも臓器別に細分化されてしまった。一つの臓器、例えば肺炎を懸命に治療した結果、肺炎が治ったとしても、その間のベッド安静がもとで寝たきりにむすびつく公算が大きい。多職種がチームで集中的に関わることが必要である…。
 講演を聴いて、歯科と医科の連携にあたり、摂食嚥下障害は格好な接着剤になると感じた。

 各地の活動から
 午後は各地の交流会である。現在11協会で「女性医師、歯科医師の会」や「女性部」がある。全国の活動を南から紹介する。
○鹿児島/交流会「医療従事者のメンタルヘルスを考える」、女性医師の再就職支援
 「ドクターバンク鹿児島」。
○宮崎/講演「緩和ケアの新たな展開」と交流会。
○熊本/学習会「バイオレンスの連鎖を断ち切る」、県医師会、市医師会、県小児科女性医師の会とともに「就労支援と復帰支援」について知事と懇談。
○福岡/七夕トーク「女性医師の子育ての工夫」「全国薬害肝炎」。
○徳島/お癒しの会&井戸端勉強会「漢方薬でぬくめよう心と体」、女性医師支援アンケート、登録制による結婚支援、女性医師対象の点数改定検討会。
○兵庫/沖縄米兵による少女暴行事件に抗議声明、講演会「性差医療と女性外来」。
○大阪/講演会「新聞記者として」「ADHD」。
○愛知/ミニリーフ作成「それでもあなたはたばこを吸いますか」、イラク女性医師との交流、学習会「ビスフォスフォネートについて」。
○宮城/子育て支援シンポ。
○岩手/講演会「五感で子どもと共育ち」「指しゃぶり、爪かみ、自傷の背景とその対応」「ひな祭りランチ交流会」。
○北海道/市民向けセミナー「生む、生まない、それとも生めない??お産現場で起きていること」。
 
 群馬県保険医協会は全会員が1000余名、女性会員は88名(医科=54、歯科=34)で女性部はない。県内では県女医会が女性医師の再研修、職場復帰支援を県、医師会と連携して進めている。保険医協会ではこれと同じことをするのではなく、これに協力し補完する方向で行きたい。また、ぐんま女性歯科医の会は摂食嚥下の勉強会を熱心に続けているが、このテーマで女性医師との交流ができないか検討したい。
  

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 全国から33人が参加した学習交流会
■群馬保険医新聞2009年4月号