【定例研究会】本当の医療崩壊はこれから始まる!」

【2009. 4月 21日】

 

  医療崩壊を促進する?“4疾病5事業”

      ―3月定例研究会で真鍋重夫氏が講演
 3月19日、昨年から続いている医療崩壊シリーズの一環として研究会「本当の医療崩壊はこれから始まる!」を開催、群馬県健康づくり財団医療局長・真鍋重夫氏を講師に招いた。
 真鍋氏は群馬県の医療の現状は、既に吾妻・中之条圏では崩壊、太田・館林圏、藤岡圏は崩壊進行中、今年から利根・沼田でも群大の医師の引き上げや病院からの離職者数の増大により医療崩壊が始まると説明。これらにより、救急車が前橋日赤や群大に集中し、このままでは前橋地区の救急医療も破綻に向かうと述べた。
 何故こんな事態になっているのか。現在、病院局と保健福祉行政は別行政体系であり、県立病院運営と医療行政が乖離している。つまり医療行政を素人に任せていることが大きな問題だと強調した。
 公立病院改革プランについては、医療に「職員給与費対医業収益比率」や「病床利用率」など目標数値を設定し、達成できないときは病床削減、診療所化などの見直しを迫っている。このプランでは利益重視型の病院が増え、僻地の病院運営は成り立たなくなる恐れがあると述べた。
 また、医療改正法により現在進められている4疾病5事業に関しては、医療機関の格付けをすることによって診療報酬の差別化を行い、地域の急性期医療を担う中小病院が潰れる仕組みになっていると指摘し、政策自体が崩壊の手助けをしている形だと述べた。
 その他に貧困と医療崩壊も密接な関係があると指摘し、近年目立ってきているものとして患者の貧困による未収金の増大(医療費不払い問題)が病院経営を圧迫し、崩壊加速の要因になっていると説明した。
 現在の医療崩壊にブレーキをかけるには、社会保障費、特に医療費の大幅増額を実現させるしかなく、そのためには、政治を変えなければならないとまとめた。

■群馬保険医新聞2009年4月号