新春座談会 医療再生に向けて

【2010. 1月 12日】

新春座談会 医療再生に向けて

▼出席者

 宮崎岳志衆議院議員/三宅雪子衆議院議員
 群馬県保険医協会
   柳川洋子会長  木村 康副会長  清水信雄副会長
   小板橋毅理事  長沼誠一理事   奈良純夫理事  深沢尚伊理事

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 臨時国会閉会の日、群馬選出の衆議院議員お二人を協会事務所に迎えた。ともに厚生労働委員会に所属し医療問題を専門とする。私たちが常々感じている医療行政への疑問を7項目に絞って聞いてもらった。医療再生に向けて、新しい年の第一歩である。

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宮崎岳志氏                                    三宅雪子氏

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あと半年、一年…温かく見守ってほしい。 

                                                               三宅雪子氏

今日はお招きいただきありがとうございます。お父様と弟さんがお医者様という、まさに専門家の宮崎議員とは違い、私は新人の立場で出来る限り意見を言わせていただきたいと思っています。
 マニフェストの具体化と問題点、将来展望について語れとのことですが、マニフェストは皆様との約束ということで、現在実現に向けて民主党もがんばっています。三か月が経ち、そろそろ「まだ実現しないのか」と言われる時期になってきました。通常国会が一月から始まりますが、あと半年、一年、皆様には温かく見守っていただきたいと思っています。
 私は障害者問題を中心に取り組みたいと思って厚生労働委員会に入りました。とはいうものの問題は幅広く、いろいろなことについて目下勉強中です。後期高齢者医療制度についてはマニフェストで掲げているとおり廃止の方向で努めています。ただ医療問題は、今日決めて明日からということが全くできない分野です。政府は高齢者医療制度改革会議というものをつくり、廃止後にどのような形でやっていくかを議論して、これから決めていくということになります。
 これまで75歳という年齢で区切り、あたかも姨捨山といいますか、高齢者を切り捨てるような政策をとってきたわけですが、そういったいわゆる悪法はやめて、有識者の方を含め、厚生労働委員会でも話し合って新しい制度を実施していくという方向になっています。
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 実際に入ってみると予想以上に厳しかった。  
 
                                                                                宮崎岳志氏

 選挙では大変大勢の医師が私を応援してくれました。これは今、ここまでガタガタになってしまった医療をなんとか再生しなくてはという皆様の思いと受け止めています。しかし実際に入ってみると、予想以上に厳しかった。
 長妻さんが言っていたのですが、厚生労働省の官僚は東大を優秀な成績で卒業し、優秀な成績で役所に入って思うがままやってきた。しかし彼らが持っていないものを私たちは持っている。選挙区を歩いていると、お年寄りに「何とか頼みます」と手を合わせて拝まれ、本当に涙が流れるような気持ちになった。こういうことをつないでいくのが政治の原点で、そういう現場の感覚がないと官僚といくらやりあっても勝てない、と。
まずマニフェストとは理想を掲げたものであるということをお断りしておきます。それをどう実現していくか、すべては財源問題に帰結します。最終的には国民負担の問題ということになります。
 医師不足についてですが、たとえば来年医学部の定員を増やしたとしても10年近くの時間がかかり、即効性はありません。勤務医と開業医の負担の問題も議論されていますが、私はそれを必ずしも診療報酬で是正するのではなく、労働的な負担、つまり夜間や休日診療を開業医の方に負担していただくことによって勤務医の負担を軽減することをまずやっていくべきだと思います。
 いずれにしても、われわれは医療費を増やす方向、医療に関わるお金全体を増やすということで動いています。11月26日、民主党の中で「適切な医療費を考える議員連盟」を結成し、私も役員の末席に入れていただきました。財務省中心に医療費を圧縮しようという動きがあり、それを押し返そうとして議員連盟ができたのです。診療報酬を三%伸ばそうじゃないかと、今日幹事長に要望を出してきました。
 医療費を欧米先進国並みに引き上げていくには、保険料に手をつけるか、税金を上げるか。それをやってもまだ守る価値があるか、あるいはあるんだということを理解していただかないと厳しい道になるのではないかと思います。
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 座談会  医療再生に向けて
 

 柳川 当協会の理念は、県民の健康と国民皆保険を守ることです。そのために医療経営が健全で、医学の進歩に追いつくための研究活動が出来ることを目指しています。 
 これまで行政や与党とは必ずしも強い連携とは言えませんでしたが、市民や医療者の意見や提言を取り上げて検討し、行政との橋渡しをするという役割を果たしてきました。今まで協会がやってきたことと、新政権の方針には非常に共通した部分がありますので私たちは期待しています。

 ◎「所得1.7倍」に異議あり

 奈良 先日、厚労省の医療経済実態調査をもとに「開業医の平均月収が勤務医の1.7倍」とマスコミで騒がれました。所得を比較するなら病院長と診療所長、あるいは病院勤務医と診療所勤務医を比較するべきだと思います。診療報酬全体が高いとありましたが、それは限られたケースのことで、今は開業医の収入もどんどん減少しています。
 整形外科医の診療報酬が多いと言われますが、自動車事故に対する自賠責とか、その他の自由診療、介護収入があり、それらを含めて比較している。それにサンプルが70医療機関程度では納得できません。開業医は診療所での仕事のほかに校医、予防接種、小児検診などいろいろなことをやっています。我が家にも勤務医が3人いますが、彼らの収入は私よりも多いのです。

 三宅議員 1.7倍という数字は、私も最初にニュースを聞いたときからいかがわしいなと思っていました。同じ条件で同じようなことを比べるのならまだしも、今お話にあったように開業医はマネージメントもやっているわけですから、勤務医とは条件が違います。
 私はフジテレビ、宮崎さんも上毛新聞のご出身ですが、言葉のトリック=マジックで、1.7倍と書くのと、勤務医は開業医の60%の収入と書くのとでは大きなニュアンスの違いがあります。そういったことで世間に誤解を与えたとすれば本当に残念なことだと思います。こういったことは必ず正していかなければいけないと思いますし、開業医のみなさまが大変な思いをして毎日診療していらっしゃるのは私たちも理解しています。

 長沼 変なデータを持ってきて報告するということが厚労省にはよくあります。5分ルールの問題も、実際の診療時間ではないデータを持ってきて、5分以上でないと認めないと都合のいい理屈をつける。一昨年の母子加算廃止も同様です。厚労省の報告は、少ない偏ったサンプルを元に、それに理屈をつけて結論を出す。それが新聞に出ると一人歩きします。「開業医はけしからん、開業医を減らして勤務医を増やせ」というような投稿が載る。その辺の事情をおわかりいただいて、変なデータを元に結論をださないでもらいたい。
  
 宮崎議員 収入の問題についてですが、勤務医はサラリーマンで、開業医は企業経営者みたいなものです。その同じ開業医でも、人を大勢使っている方もいれば看護師さんと二人だけでやっている方までいろいろですから、一律に比べるというのは意味がない。そもそも「ためにする」数字だということですね。
 厚労省の数字のロジックということを言われましたが、厚労省に限ったことではありません。あらゆるところでそういうことが行われています。要は医療費を減らしたいということです。
 問題の本質は負担感の問題です。実際にどれほどの負担があるかは別にして、勤務医がもうここではやりたくない、何とか開業できないかと思っている事実は動かない。開業医の方が儲かるからやりたいという人がそんなにいるとは思えません。一国一城の主でやりたいという気持ちもあるでしょうし、やはりバーンアウト的なところもあるでしょう。あるいはいろんな研究をしてみたいとか、さまざまな理由があると思います。特に救急、夜間、当直が多い分野ではそういう傾向がある。

 柳川 1.7倍というのをあえて持ち出したのは、開業医の保険点数を下げて、それを勤務医に回せという意向が感じられるからです。小さい開業医の点数を大病院に回せというのでは地域の初期医療をだめにしてしまう。開業医が初期医療をしっかりやることで、大病院が専門医療に専念できるという役割分担が大切で、宮崎さんが言われたように、負担を分割し、負担感を均等にするという役割を開業医は担っています。開業医の疲弊は地域医療の崩壊につながるでしょう。

 宮崎議員 厚労省の発想の本質が問題ですね。勤務医が非常に厳しい状況にある、それに比べて開業医は楽なんじゃないかと。だから開業医をもっと厳しくすればいいという発想です。逆の発想をすれば、たとえば医療クラークを緊急雇用対策で十万人増やそうじゃないか、そういうことで勤務医の負担を減らしていくという考え方もあります。
 

 ◎漢方・ビタミンの保険はずし

 小板橋 漢方薬の保険はずしについては、いろいろな抗議があってご存じだと思いますので、あまり話題にならなかったビタミンについて、ひとこと。ビタミンというのは薬局でも買えるという発想がありますが、ビタミンB1不足で起きるウェルニッケ脳症が問題になったことがあります。東大病院でビタミンの入っていない点滴を受けたためにこの病気を発症した男性の遺族が裁判に訴えました。判決では、適切な量のビタミンB1を補給する注意義務を怠ったとして、請求通りの支払いを命じています。
 なぜこんなことが起こったのか。ウェルニッケ脳症は1881年から知られている病気ですが、一時期、点滴の中にビタミンを入れることは認めないと査定され、これにお金が払われない時代があったのです。全国で50人くらいこの脳症が発病しました。
 これは人為的な発病です。C型肝炎と同レベルの問題でしたが、全く報道されていません。あやふやなうちにビタミンを保険で認めるようになり、それからは起こらなくなった。ビタミン外しをすると、また同じようなことが起こるのではないかと心配です。

 三宅議員 保険外しには正直驚いたのですが、以前にもそういった議論があったのですね。その後も保険適用が続いたということは、漢方薬やビタミンが大変必要とされている、日常に役に立っている薬だからだと思います。まだはっきりとした結論が出ていないのですが、慎重に考えたいと思います。

 深沢 タミフルを使うと異常行動を起こす子どもが出るというので、10代にはタミフルを使わないようにと指示が出たことがあります。東洋医学の先生から麻黄湯を教えていただき、実際に使ってみたらタミフルと同じくらいの効果を出す子がとても多かった。これならタミフルが足りなくなっても大丈夫だと思いました。
 漢方についてはまだ勉強中ですが、西洋医学の薬はなかなか効かない「泣き入りひきつけ」の子どもに抑肝散がよく効きます。ほかにもたくさんの疾患で漢方薬は定着しています。それが保険で通らなくなると…。

 宮崎議員 ビタミン剤や漢方薬は市販されているではないか、それをなぜ保険適用にするんだという議論ですが、かつてこれらを大盤ぶるまいした歴史があるのではないでしょうか。私が子どものころ、山のようにビタミン剤をくれる医師がいて、たいてい飲まなかったことを思い出しました。
 問題は医療費総枠の議論になっていないことです。つまり、もともと枠は決まっていて、それを少しずつ切って総額を減らそうとすることが間違いです。総枠の中でどれだけ効率化していくのか、あるいは限られた医療財源を使うにはどうしたらいいかという議論にならなければいけない。
 民主党は統合医療ということを主張しています。漢方のようなものをもっと導入することによって患者のQOLが上がるのではないかとか、漢方薬を使うことで医療費も効率化されるのではないかと。議連としても漢方の保険除外はやらないようにと主張しています。基本的にはみなさんと同じ発想に立っているとご理解ください。

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 ◎療養病床の削減

 深沢 マニフェストの中に療養病床の削減はしないとありますが、私が現場で感じていることをちょっと説明したいと思います。先の政府は介護保険の療養病床は廃止、医療保険を使った療養病床は残すということでしたが、高度な医療的処置がない人の診療報酬は低く、小さいところの療養病床はおそらくみんななくなるのではないでしょうか。
 私の病院では療養病床を30床持っていますが、たとえば胃瘻の人は保険では軽症として扱われ、入院1日に対する診療報酬はだいたい8000円です。お風呂に入れて、食事を出して、薬もただで、看護師さんが付いて8000円です。部屋だけ提供するホテルと同程度の報酬では続けられません。
 胃瘻の人は実際には慎重な観察が必要で、多くの人に対応することは困難です。そういう人たちはたくさん入所してもらうことができません。 
 中等症以上になると看護師などの体制が整わないと無理なので、大きな病院しかできません。重症にも、中等症にも入らない、在宅では無理といった人たちはどこに行けばいいのでしょう。
 もう一つ、介護保険で療養病床を持っているとショートステイができます。ショートステイがあるから、家の人も平日はがんばって介護ができる。でも療養病床が減らされるとショートステイも思うようにできなくなる危険性があり、在宅で介護することが困難になります。

 三宅議員 これはもうおっしゃるとおりで、マニフェストで掲げたとおり、療養病床の削減はしないという方針に変わりはありません。社会的入院はさまざまな問題が組み合わさっています。日本は1回の入院日数が30日以上と、先進国の中でも飛びぬけている。そういうことも改善していかなければいけないと痛感しています。
 
 宮崎議員 介護療養病床の廃止は凍結になりました。いわゆる社会的入院というのは、個人が悪いとか、家庭が悪いとかいう問題ではなくて、まさに社会的にそういう状況があるということでしょう。
 平均寿命が60代くらいで、奥さんがみな専業主婦でやっている時代は自宅で面倒をみることができたかもしれませんが、今は男女共働きが当たり前、そして平均年齢が80、90に上がっていくという時代ですから家庭で看られるわけがないのです。
 何らかの形でその受け皿が必要で、医療が必要な方、介護が必要な方、ただ生活の世話をしてもらえば元気にやってくれる方、それに応じた居場所、施設、手助けがなければいけない。それを全体のバランスを見ながら、国民負担はなるべく少なく、中にいる人は快適にというラインを示さないといけません。

 ◎歯科医療の危機

 清水 歯科医療は危機的状況にあります。歯科医師過剰が危機を招いていると言われていますが、一方では潜在患者、処置を受けなくてはいけない人の3分の1から5分の1しか受診していないと言われています。
 歯科はすべて手作業ですから多くの患者は診られません。ちなみに1日の平均患者数は19人です。しかし保険点数だけでは19人だと採算があわない。なぜ保険点数が低いのか。保険診療を充実させようという努力をしてこなかった、あるいは努力が足りなかったということもあります。新しい技術を保険に入れようという努力を怠り、保険をあきらめ、自費に入れてきた。欧米諸国の中でも日本の歯科保険点数はひと桁違うくらい安くなっています。

 宮崎議員 あまり歯科のことには詳しくないのですが、確かに歯科医の保険収入はここ20年くらいで非常に減っているという話を耳にしますし、業界全体としてのゆがみが大きいと感じています。インプラント等で非常に高額な請求があり、一方では1000円、2000円の話をしている。ちょっとゆがみが激しいですね。それを直すには、やはり診療報酬の問題が一番大きいのでしょうか。

 深沢 自民党のときは格差があって当たり前で、保険外しが進んできてしまったが、せっかく政権が変わったのですから、お金の面だけではなく、歯科医療のあり方についてもぜひ議論して欲しいです。
 
 宮崎議員 つい先日歯科医師連盟の方が陳情に来られて状況の説明がありました。ひどいとは聞いていましたが資料を見て驚きました。何でこれまで自民党にあんなに忠誠を尽くしてきたのでしょうか。ここ十何年でひどいことになった。ここも手をつけなければいけないと思いますが、正直、民主党内でもあまり議論が詰まっていません。でも歯科医出身の議員もいますので、だんだん取り組んでいけると思います。
 ◎「指導」のありかた

 清水 保険の指導というのは、本来相手がわからないことを懇切丁寧に説明するのが目的のはずですが、実際には医科歯科限らず強いプレッシャーとなっています。もちろん不正請求があれば、きちんと指導監査しなければなりませんが、今はどちらかといえば医療費削減が先にあります。まず点数が高いことが指導の対象になり、指導という名で萎縮診療を強いている。一生懸命やると点数が上がってしまうことがありますから、それを一律に経済審査でするのはおかしいと思います。

 三宅議員 個別指導が原因で自殺者まで出したという事件は、私も記憶に残っています。非常に痛ましい事件で、そんな指導があるということを全く知らなかった。あってはならないことだと思います。
 
 清水 以前は弁護士帯同もできなかったし、歯科医師一人に対して、向こうは指導官や事務官らがずらっと並んで威圧される雰囲気がありました。そこで細かいことを一つひとつチェックされ、カルテに行を空けると何か書き足すつもりだろうなんてことを言われたのです。
 木村 別にやっていますが、基本は同じだと思います。例えば医師が100人いたら100人の点数を並べて高点数の人から順に指導に回していく。「自信を持って良い医療をしている人が高点数になるのはわかります。ですから決して萎縮診療しないでください。けれども来年も高かったらお灸をすえますよ」というのが常套句。そういわれると、指導されるのはいやだから点数を抑えようとします。そうして全体の平均点数が下がると、その時点でまた上のほうから指導に回される、これが延々と続くのですからおかしい。

 宮崎議員 それだと難しい人を診ると損をするということになりますか。丁寧にやる人と、そうでない人もいるでしょうし。

 

 ◎自主共済は開業医の命綱

 木村 私たちは自分たちの共済として休業保障制度というのを持っています。病気やケガなどで休業せざるをえなくなったときに助け合おうという制度ですが、2006年に保険業法が改正され、自主共済は認めないということになりました。オレンジ共済という偽共済があって、こういうものを根絶するという目的でできた法律だと理解しているのですが、自主共済はまったく内容が違います。
 新保険業法には適用を除外するという一項があり、それを受ければ継続可能なのですが、われわれのものはそれに入らなかった。国会議員や宗教法人などの共済は適用除外になっています。私たちも適用除外を受けたいと活動してきました。というのは、我々には退職金もありませんし、いろんな保障もない。休業すれば職員の給料も払えなくなります。
 実は10月に保団連が亀井静香さんと会談して、亀井大臣からは「適用除外にするべき、すぐに金融庁に指示を出す」という話があったのですが、それが遅々として進んでいません。ぜひ適用除外としていただきたい。群馬ではこの休業保障制度におよそ400人、全国では5万人近い保険医が加入しています。

 三宅議員 本当によりどころと言いますか、開業医の皆さんがお互いに助け合うというこういう制度は必要だと私も思います。オレンジ共済という名前、久しぶりに思い出しました。そういったエセ共済と一緒にしてしまうのは筋が通らないことです。与党の中でもコンセンサスが得られるのはこれからかという気がしますが、おっしゃっていることもごもっともだなと思います。

 宮崎議員 知りませんでした。しかし全国で5万人も加入しているなら、逆に企業的に、保険組織として運営したほうがいいのでは。

 木村 それには今あるものを精算して新しく会社を設立しなければなりません。そのまま移行できないし、預かっている保険料は多額ですから、法人が変われば膨大な税金もかかってきて間尺に合わないことです。

 宮崎議員 おそらく常識的に考えて、加入者が万単位でいるとなると、ちゃんと保険業として届出を出した保険でやりなさいよという意味だと思うんですよ。数百人というお互いに顔が見える程度のものが適用除外の対象で、万単位で、全国展開でとなると…。それを考えてみると、従来あったものがそのまま移行できないというのは法律の不備、制度のすき間で放っておかれているパターンなのかもしれません。この問題はちょっと研究させてください。
 ◎臨床研修制度のこと

 深沢 医学部卒で群馬県に残る医師が今年は77名、だんだん減ってきています。5年前に新臨床研修制度ができて、プライマリケアのできる医師育てが始まったのに、今年突然年間の入院患者が3000人以上でなければ臨床研修病院として認めないことになりました。中小病院も含めて、みんなで医師を育てようとがんばっているのに、水をさすだけでなく、地方の医療崩壊をさらに進めることになります。

 宮崎議員 臨床研修医制度を医師不足の原因にするのはもうやめたほうがいいと思うんですよ。もう導入して何年も経っています。最初の1年2年はそうだったかもしれないけれども、今は臨床研修制度が医師不足の原因ではないと私は思います。たまたまそれはきっかけだっただけで、臨床研修制度にはその目的があり、臨床研修制度を使って医師を大学の医局の支配下に置こうというのは非常にゆがんだ考え方だと思います。今回の改正は問題が大きいと思いますので、運用段階である程度修正をしていく、将来的には制度自体を変えていくことになると思っています。

 柳川 今日はありがとうございました。今、政治への期待が大変高まっています。新議員のお二人には私たちも期待しています。私たちが強く感じている問題に関心を示してくださったことに確かな手ごたえを感じ、大変心強く思いました。(2009年12月4日収録)

■群馬保険医新聞 2010年1月号