年頭所感

【2010. 1月 12日】

  2010年 年頭所感

              群馬県保険医協会 会長  柳 川 洋 子

 明けましておめでとうございます。
 昨年は、政権交代が一刀両断ならぬ「一票両断」のもとに実現し、一票の重さを改めて認識した忘れられない年でした。崩壊の危機にあえいでいた医療界は、今年こそ医療再生の年にしようと意欲に燃えていることと思います。
 群馬県保険医協会は2007年から継続して「ここまで来た医療崩壊」をテーマに据えてきました。医療現場の声を聞き、討論し、福祉・医療行政関係の講演会などを7回にわたって開催してきました。そこから見えてきたのは、まさに医療の危機であり、国民皆保険の危機でした。また、保険医協会は開業医が主体の団体ですが、単に開業医の利益だけを考えていては医療の危機は回避できないと確信するに至りました。
 当協会の大きな目標を三つあげるとすれば、
・地域医療を守ること
・病診連携の充実を図ること
・歯科医療を改善すること
だと考えます。地域医療を守るのは大病院だけではありません。住民の身近にいつもある中小病院、診療所、歯科医院を正当に評価して、安定した経営が出来る診療報酬にすることが大切です。
 新型インフルエンザの流行を例に挙げれば、第一線で日夜奮闘したのはこれらの中小病院や開業医たちでした。大勢の患者さんが一斉に病院に押し寄せれば、大病院といえどもあっという間に機能不全に陥るでしょう。本来の病院機能を発揮するためには、地域の中小病院や開業医の役割が重要なのです。また、逆に病院の受け入れ体制がなければ開業医はお手上げなのです。こういった意味で、各地域の事情に合わせた病診連携が医療再生の鍵になってくるものと思います。
 この目標達成のためには人と財源が必要です。医師不足に対しては、医学部定員増と平行し、少ない医療資源を効率よく使う工夫として病診連携による役割分担のシステム作りが重要です。
 また保険点数をアップすること、特に歯科では緊急に大幅なアップが必要です。医科では、開業医の点数を病院勤務医に振り向けるという考え方もありますが、点数の移動程度では解決しないばかりか、開業医が疲弊すれば地域医療の崩壊を加速させることになるでしょう。
 財源をどうするか。保険料を上げれば不払いを増やし、窓口負担が上がれば診療抑制を招きます。財源は税金とし、消費税の前に、まず大企業の社会的責任として法人税アップを要望していきましょう。
 今年もよろしくお願い致します。

■群馬保険医新聞2010年1月号