【論壇】振り込まれた診療報酬の明細が知りたい!

【2013. 4月 15日】

 レセプト請求完全オンライン化の原則化の期日(猶予期間最大で平成27年3月末日)が迫っている。医科に比べ、歯科では全体の31%が対応しているだけで、未だ紙レセプトでの提出が多いようだ(平成23年社会保険診療報酬支払基金調べ)。周知のとおり、レセプトを電子請求に対応させるには、おおよそ100万円くらいの負担を余儀なくされる。電子化請求によるメリットととして、レセプトの管理効率化・迅速化・自動化・ペーパレス化・人為的ミス排除などが挙げられている。一方で2010年の診療報酬改定では、患者に対し、レセプト並みの診療明細書を紙で発行することが義務付けられた。レセプト請求の電子化で、審査支払機関の業務は効率化されるようだが、診療所の窓口での業務の効率は下がってしまった。こういったところに医療行政の矛盾を感じる。
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 保険医療機関の多くは、レセプトの返戻を経験されていることだろう。
 返戻の理由は、保険証の記号・番号の不備や点数、診療内容と病名の不一致などだ。医療機関側は、内容を見直し、修正や状況記載等を加筆して再提出しなければならない。
 月ごとに審査支払機関に請求したレセプトが認められれば、2カ月後に銀行口座に振り込まれる。ここで、ある疑念が生じる。診療報酬はまとめて振り込まれるため、どの患者の分なのかが分からない。返戻分はいつ認められ、支払われているかについては、皆目見当がつかない。
 そこで私が訴えたいのは、「各医療機関の口座にまとめて支払われる診療報酬に対する明細書の発行を求める」ということだ。
 私はかつて、自院に他医院の返戻レセプトが紛れ込んで送られてくるという経験をした。他にも審査支払機関で人為的なミスが起こる可能性だってあるだろう。そういった疑念を払拭し、明瞭な支払いとするために、何らかの形で明細を知らせてほしいのだ。
 私たちは、複雑で難解な診療報酬体系の中で、正しい請求を心がけ、レセプトを作成し、提出している。それには安心で納得のできる診療報酬支払形態で応えるべきと考える。電子化によりデータの管理がし易くなるというならば、明細を知らせることもそう難しくないはずである。
(副会長・小山 敦)

■群馬保険医新聞4月号