<保険医新聞>安保法案会員アンケート集計結果

【2015. 9月 15日】

安保法案アンケート集計結果
8月19日~31日実施   会員190人が回答(回収率18%)

 群馬県保険医協会は、8月19日、会員1037人に「安全保障関連法案」に関する緊急アンケートを郵送し、ファクスによる回答を求めた。締切りの8月末日までに集まった回答は、医科128人、歯科62人の計190人。回収率は、18%だった。

グラフ

 
 「政府の安全保障関連法案の説明について」は「十分だ」が13%(24人)、「不十分だ」は80%(152人)に及んだ。
 「安全保障関連法案の今回の国会で成立について」は「賛成」が17%(33人)、「反対」は77%(146人)となった。
 「安全保障関連法案が成立したら日本の平和と安全を守ることに役立つと思うか」については「役立つ」が18%(34人)、「役立たない」が64%(122人)だった。
 マスコミ各社の世論調査と同様に、同法案に対する反対が、賛成を上回る結果となり、8割の人が法案について、政府の説明不足を感じていることがわかる。
 自由記載の文書回答から、同法案に反対の人の多くは、「憲法の解釈変更で乗り切ろうとする危うさ」や「法案の成立をきっかけとして、戦争へつながること」を危惧しているようだ。一方、賛成の人の理由としては、「戦争には反対だが、防衛力の強化のためにはやむを得ない」というものが目立った。他に、「保険医協会が政治的なアンケートをとることの主旨が分からない」等の意見もあった。
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 以下、自由記載の文書回答から。

医師・歯科医師の考えは……

【賛成意見】計16件の記載
 〇集団的自衛権は、独立国なら持つべきだ。
 〇戦争は反対だが、中国、ロシアなどの近隣諸国の状況をみると防衛力を強化せざるをえない。
 〇国家として、自国、自国民を自力で守る必要がある。
 〇日本の安全は全てアメリカ頼み。日米関係を強くするしかない。

 【反対意見】計71件の記載
 〇戦後70年、日本が他国との戦火に巻き込まれなかったのは憲法でこれを否定したからである。
 〇憲法に違反して法案を成立させるという方向性に非常に危うさを感じる。
 〇憲法を守り抜くことが日本の果たすべき最大の国際貢献であり、人の生命を守り尊ぶことを使命とする医療者は、戦争を許さないために最大限の努力をすべきだ。
 〇その時々の政府がどうにでも解釈できる法案であり、危険だ。
 〇憲法学者の大半が違憲だとしているにもかかわらず成立させようとしている。今国会での防衛大臣の説明が二転三転し、信憑性がない。
 〇国会議員ですら理解できていない法案。米国の顔色を伺うのではなく、日本国民に向けて議論を行ってほしい。
 〇国民の理解を得られていない中、一会期で決めるなどもってのほか。もっと時間をかけて議論するべきだ。
 〇自衛隊はあくまで日本国内で日本国民に対して他国から攻撃を受けた時にのみ対応すべきである。
 〇平和を守るためと理由づけして、戦争は始まることが多いように思う。
 〇医学は人道的、倫理的、道義的理由以外では絶対に紛争に関与しないという意思を示すことが大切だと思う。
 〇どんな理由であれ戦争に加担すれば、日本が攻撃を受けることになり、その被害は悲惨なものとなる。安倍首相をはじめとする国会の議論を聞いていると、現実味のない空論をやっているようにみえてならない。
 〇保険医協会は、開業医宣言を保持しているのだから、その第10項「平和の希求」に基き行動すること、非戦を主張することは、人命を守るのが使命である医師として当然のことである。
 〇命に勝る大義なし。
      

■群馬保険医新聞2015年9月号