安保関連法に関する緊急アンケート
集計結果にマスコミも注目
安全保障関連法案について、8月下旬に会員アンケートを実施し、その結果を9月号(9月15日発行)で報じた。同時に、県内のマスコミ各社に情報提供をし、毎日新聞、上毛新聞、エフエム群馬で記事として取り上げられた。
安全保障関連法は、9月19日未明、参院本会議で賛成多数で可決され、成立した。
■アンケート結果について――会員の声を受けて
本来なら憲法改正を経なければならない、集団的自衛権の行使を可能にする「安全保障関連法」を、この夏のうちに制定する政府の動きに危機感を覚え、8月下旬、急きょアンケートを実施し、会員の意見を伺うこととした。アンケートを実施したのは、全国保険医団体連合会(保団連)の「開業医宣言」の第10条にある「平和の希求」(注1)の実践でもある。
戦後70年。平和憲法のもと、国際紛争の解決手段としての武力行使を放棄することを世界に向けて宣言した日本は、実際に国家として戦争に参加することなく、殺し合わずにここまで来た。これは、いのちを守ることを通して人々の幸福追求を応援する医師として、なんら矛盾することではない。
アンケートの集計結果は、前号の本紙で報じた。短期間にもかかわらず、18%の会員から回答及び意見が寄せられたことに、改めて感謝を申し上げる。
アンケート実施にあたっては理事会で協議し、質問事項については、NHKが行った世論調査をもとに、かつ誘導的な内容にならないように注意を払うこととした。多くの会員が、自由記載欄に意見を書いてくださった。自身の戦争体験、親から聞いた体験談などから「戦争は避けなければならない」という強い思いが伝わってきた。
法案に「賛成」か「反対」かについては、一般紙が行った調査結果と同じ傾向がみられた。
賛成意見も17%あった。理由として、「集団的自衛権は持つべき」「戦争は反対だが周辺状況から防衛力を強化せざるを得ない」「国家として自力で守る必要」などがあった。
軍隊を持たないことを憲法で明記しているのは、世界中でも日本とコスタリカだけであり、特殊であることは間違いなく、憲法改正論議として必要な議論であろう。国民投票で憲法改正を行うというのが、多くの「賛成」意見をいただいた会員の意に基づくものであろう。
法律が成立したとはいえ、実際に前線に立つ日本の若者が、他国民を殺し、また殺される事態は、避けなければ ならない。今後も、この議論を重ねることが求められるであろう。
(副会長・深沢尚伊)
(注1)「開業医宣言」とは、保団連が、これからの医療をより良くする決意をあらわすものとして、4年間の討議を経て第27回総会(1989年)で採択したもの。 10平和の希求…人命を守る医師はいかなる戦争をも容認できない。私たちは歴史の教訓に学び、憲法の理念を体して平和を脅かす動きに反対し、核戦争の防止と核兵器廃絶が現代に生きる医師の社会的責任であることを確認する。 ――「開業医宣言」の全文は、当会のホームページに掲載している。
■群馬保険医新聞2015年10月号