1 平昌オリンピック
冬のオリンピックが、韓国北東部のピョンチャンで開かれた。南北朝鮮は統一チームを作り参加し、北朝鮮は核実験等で国連に制裁決議されているが、五輪期間中は例外として、文化交流人員の入国も許可された。
スピードスケート女子500mでは、小平奈緒選手が五輪新記録で金メダルを獲得したが、五輪3連覇を逃し、銀メダルとなった韓国の李相花選手のもとに、レース後近寄り、互いに健闘を称えあう姿が話題になった。
2 森友文書改ざん
学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地取引に関する決裁文書の改ざん問題で、告発された佐川宣寿前国税庁長官が、大阪地検特捜部に不起訴とされた。
佐川元理財局長の元で、国有地取引に関する14の決裁文書の書き換えがあり、価格の事前交渉や安倍晋三首相夫人を巡る記述が削除された。さらに、公文書の改ざんを指示され、犯罪的作業を実行したとされる財務省近畿財務局職員が自殺していたこともわかった。佐川前長官は、国会の証人喚問で刑事訴追のおそれを理由にして質問には答えず、地検特捜部は好都合な隠れ蓑となった。
3 米朝首脳会談
アメリカと北朝鮮の首脳が会談し、合意文書に署名し、トランプ大統領が北朝鮮に体制保証を約束する一方、金正恩氏は朝鮮半島の完全な非核化にむけて取り組むことを確認した。
「狂った老いぼれ」「ロケットマン」と互いにののしり合っていた仲だが、今回の会談で、個人的な関係がうまく働き、「炎と激怒」状態に戻ってしまう事態は防げるかもしれないが、同盟国の米国と韓国との情報共有の不備も露呈された。
4 国内最高気温41.1度
2018年の夏の最高気温は、埼玉県熊谷市で41.1℃を観測して、5年ぶりに最高記録を更新した。
今年の夏は、これまでにない猛暑が世界中を襲い、日本でも猛暑日が続き、熱中症情報は必須になり、全国で多数の死者が出た。
半世紀前の夏の最高気温は30度前後で、30度を超えると小学校では午後授業は休みになった思い出があるが、40度ではエアコンなしでは過ごせない。そんな時期に開催する東京オリンピックも心配だ。
5 東京医大不正入試
東京医大に文部科学省幹部の子息を入学させる見返りに、大学支援事業の選定で便宜を図るという汚職事件が発覚したが、その事件の捜査中に、別の医学部でも不正入試が行われていたことがわかった。
第三者委員会の調査では、2浪までの男性に20点、3浪男性に10点加点し、女性や4浪以上には加点しないという不正操作により、女性や多浪生が不合格となっていた。女性が増えると大学病院の働き手が減り、多浪生は伸びが少ないといった関係者の考えがあったようだが、女性比率の少ない他大学でも同様な操作が見られた。
女性は出産、子育てなどで仕事量が減る時期もあるが、それに応じた体制をとらず、医療の現場では未だ男性社会が根強く残っている。
6 ノーベル生理学賞本庶氏に
京都大の本庶佑特別教授が、免疫をがんの治療に生かす手がかりを見つけたとしてノーベル医学生理学賞を受賞した。
本庶さんのグループが見つけたのはPD‐1という分子で、これをつくれないマウスの体内ではがんの増殖が抑えられることを確認し、この分子の働きを妨げる抗体をマウスに注射し、がんを治療する効果があることを2002年に報告した。
PD‐1の働きを抑える薬はオプジーボと名付けられ、2014年、世界に先駆けて日本で悪性黒色腫の治療薬として承認されたが、数百人規模の患者を想定した原価計算方式で超高額な薬価がつき、数万人の他のがんにも適応拡大するという高薬価問題が生じた。
大阪大教授時代の本庶さんの生化学講義を聴いたことがあるが、当時もクラススイッチ理論でノーベル賞候補といわれ、1987年の利根川進・米マサチューセッツ工科大教授と同時受賞でもおかしくないと思ったが、別の研究での受賞はすばらしい。
7 日産ゴーン会長逮捕
経営危機にあった日産の経営を立て直し、コストカッターとして有名なカルロス・ゴーン会長が、東京地検特捜部に金融商品取引法違反容疑で逮捕された。
その容疑は、5年間の役員報酬100億円の半分、50億円しか有価証券報告書に記載してないというものである。
日産の内部情報を司法取引して得たようで、特捜部に都合の良い情報のみ発表されるが、空港で逮捕されたまま起訴されることもなく長期勾留が続き、弁護士の同席もなく取り調べを受ける人質司法の運用は、問題が多い。
ゴーン会長の日産の報酬は年間約10億円と、日本では常にトップクラスで、ルノーおよび三菱自動車の会長も兼ねており、フランスの国有会社ルノーの会長報酬9億円は高額すぎると、マクロン大統領から言われ続けていたようだ。日産の報酬10億円は、日産元社員から見れば法外な額で、それが20億円ともなれば、グローバル企業の経営者でも、日本だけでなく、フランスの世間の目、常識を意識し、表に出しにくいと感じたのだろうか。コストカッターとして、社員などの首は切るが、自分のコストには甘いようだ。20億円で、どんな幸せがあるのだろうか。
(副会長 長沼誠一)
■群馬保険医新聞2018年12月15日