【歯鏡】年間推計からの2類見直し

【2020. 12月 03日】

 2020年全世界を脅かす事態が起こった。

 中国武漢から新しいウイルス感染症が世界に広まり、新型コロナウイルスCOVID-19と名付けられ、日本でも緊急事態宣言が発令され、自粛生活を余儀なくされた。医療機関でも自粛による受診抑制の影響を受け、医科も歯科もその影響は甚大であった。保団連の緊急アンケート調査では、5月診療報酬分が前年度比「収入30%以上減」と医科2割、歯科3割の医院で大幅減少との報告があった。標榜科目では、耳鼻咽喉科、小児科、歯科の外来患者が減少、保険診療収入減が特に影響したようだ。多くの患者がコロナウイルス感染を避けようと受診抑制した結果、がんや心不全の進行、重症化。検査の延期や服薬中断による心疾患や糖尿病など慢性疾患の症状が悪化。高齢者が外出を控えることによるADL低下、認知症進行、歯科でも口腔内状態が急速に悪化したことが指摘されている。

 高齢者施設では面会謝絶とし、入所者のADL低下も深刻な状況にある。またコロナ以外での入院でも、家族面会でさえ制限される現状から、不安感は増すばかりだと耳にする。

 現在緊急事態宣言は解除されているが、コロナ感染者は宣言時以上の増加がみられる。未知のウイルスとして、マスコミ等から連日陽性患者数が発表され、国民恐怖心は煽られ続けている。

 ウイズコロナの時代、感染拡大予防対策として、新たな生活様式が求められた。

・3密回避(密閉・密集・密接)

・ソーシャルデイスタンスを保つ。     

・日々の行動記録と健康観察表の作成

等が求められている。

 また医科歯科の医院内でも変化がみられる。感染予防意識が高まり、受付に透明仕切りの設置、受診前の検温、健康観察表への記入。待合室で3密にならないように、対面座を避ける、椅子の距離を置く、自家用車での待機、設備の定期的なエタノール等による除菌、換気などが行われている。各病院のこうした対応は、スタンダードプリコ―ションになりつつある。

 未知のコロナウイルス感染症も、時間ともにわかってきたこともある。PCR検査で陽性と判定されても、無症状であったり、軽症である割合が多いこと。重篤な症状、重症になるのは、基礎疾患がある人や高齢者に多いことなどが判明してきている。

 しかし、コロナ感染症は死に至る非常に怖い疾患との連日のマスコミ報道の煽りを受け、コロナに感染したことが悪い、とイメージが植えつけられた結果、他県をまたぐ越境移動の自粛やマスクをしていない人へ注意する自粛警察なる言葉まで聞かれるようになった。誰でも、コロナウイルスに感染したい人はいないのである。

 ここで、他の感染症のデータと比較してみる。

・新型コロナ感染

 【2020年11月8日現在】

 感染者数10.7万人

 回復者数95703人

 死亡者数1815名

・年間インフルエンザ感染死亡数約3300人(2018年)

・年間食物による窒息者数約4000人(お餅が多い、75~85歳が多い)

・年間交通死亡者数約3200人(65歳以上高率)

・年間自殺者数約20000人(70代以上40%)

 東京都におけるコロナ感染死亡者の平均年齢は79.3歳である。【2020年6月都発表】(因みに、東京2016年平均寿命男80.98歳女87.14歳 健康寿命男72歳女74.24歳)

 未知のウイルスとも言われるが、インフルエンザや窒息、交通事故の年間死亡者数と比較すると、極端に多いというデータは見えてこない。インフルエンザと同じ扱いでも良いのではと感じ得る。

 現在、新型コロナは2類相当であるので、感染すると、無症状、軽症でも就業制限・入院勧告を強いられ隔離状態となる。まだまだ、未知のウイルスではあるが、この死亡率からするとインフルエンザウイルスと同じ、5類に引き下げられるとも思えるだろう。

 PCR検査等が拡充され、陽性反応がでたら、無症状・軽症でも入院隔離となると、症状のない元気な若者で病院がいっぱいとなり、医療機能が逼迫し医療崩壊を来たすであろう。

 仮に5類になったとしても、新型コロナウイルス感染対策をすべてなくすのではなく、高齢者や基礎疾患のある人に接する場合など、各個人が常に感染予防に努め、キャリアにならないような対策を日頃から嵩じることは必要と思う。

 新型コロナウイルス感染症は、指定感染症2類のままでは収束には至らないと考える。まず、インフルエンザウイルス同等の5類に引き下げられることをが、収束への一歩となるのではないかと思う。

■指定感染症の種類毎の対応

指定感染症就業制限入院勧告
1類 エボラ出血熱、ペスト
2類 結核、SARS、新型コロナ
3類 コレラ、腸チフス
4類 E型肝炎、狂犬病
5類 インフルエンザ、梅毒
(出典:産経新聞8/26)

(副会長 小山 敦)

■群馬保険医新聞2020年11月15日号