冬季・年末年始の診療報酬算定ポイント

目次
1.冬季の感染症に関する検査、投薬の留意点
2.年末年始の休日加算等の算定
3.算定漏れに注意 時間外緊急院内検査加算、時間外緊急院内画像診断加算
4.薬剤の長期投与について

1.冬季の感染症に関する検査、投薬の留意点

インフルエンザや新型コロナ感染症の感染が拡大する時期です。この時期に増える検査や投薬に関する留意点をまとめました。詳細は保団連発行の『保険診療の手引 2024年6月版』をご覧ください。

① インフルエンザウイルス抗原定性(算定要件は『保険診療の手引き』P807)

発症後48時間以内に実施した場合に限り算定できます。インフルエンザの場合、発症早期の段階では陽性結果が出ないこともあるため、検査を2回実施することがあります。その場合は2回とも48時間以内に実施した旨、検査実施に係る経過とその必要性をレセプト「摘要」欄に記載することで算定できます。

② RSウイルス抗原定性(算定要件は『保険診療の手引き』P807)

対象は「入院中の患者」、「1歳未満の乳児」、「パリビズマブ製剤の適応となる患者」のいずれかに該当し、かつ当該ウイルスの感染症が疑われる患者となります。なお、SARS-CoV-2・RSウイルス抗原同時検出(定性)、SARS-CoV-2・インフルエンザウイルス・RSウイルス抗原同時検出(定性)を実施する場合は、検査の対象者に年齢制限はありません。

③ ノロウイルス抗原定性(算定要件は『保険診療の手引き』P807)

対象は「3歳未満の患者」、「65歳以上の患者」、「悪性腫瘍の診断が確定している患者」、「臓器移植後の患者」、「抗悪性腫瘍剤、免疫抑制剤、又は免疫抑制効果のある薬剤を投与中の患者」のいずれかに該当し、かつ当該ウイルスの感染症が疑われる患者となります。

④ SARS-CoV-2抗原定性(算定要件は『保険診療の手引き』P807)

COVID-19が疑われる患者に対し、COVID-19の診断を目的として実施した場合に1回に限り算定します。ただし、本検査の結果が陰性であったものの、COVID-19以外の診断がつかない場合は、さらに1回に限り算定できます。その場合は、本検査が必要と判断した医学的根拠をレセプト「摘要」欄に記載します。

⑤ タミフルカプセル、タミフルドライシロップ、リレンザ、イナビル吸入粉末剤20㎎およびゾフルーザ錠20㎎の投与(添付文書参照)

a) 保険給付の原則的な取扱い

上記の薬剤はA型またはB型インフルエンザウイルス感染症の発症後の治療目的での使用に限り保険給付の対象となります。予防投与は保険給付の対象外となります。

b) 自費での予防投与の対象患者

原則として、インフルエンザウイルス感染症を発症している患者の同居家族又は共同生活者であって、①高齢者(65歳以上)、②慢性呼吸器疾患又は慢性心疾患患者、③代謝性疾患患者(糖尿病等)、④腎機能障害患者とされています。

2.年末年始の休日加算等の算定

連休で算定が多くなる初再診料等の休日加算、夜間・早朝等加算の算定について整理しておきます。算定要件に関する詳細は『保険診療の手引 2024年6月版』をご覧ください。

①休日加算の対象となる日

2025年~26年の年末年始で休日加算の算定対象となるのは、12月28日(日)~1月4日(日)となります(休日加算は「日曜日」及び「国民の祝日」が対象)。

②休日加算、夜間・早朝等加算の算定の考え方

a) 休日加算

○当該休日を休診日として厚生局に届出している場合

 急病等やむを得ない理由により受診した患者であれば休日加算を算定できます。

○当該休日を診療日として厚生局に届出している場合

 診療時間以外の時間に急病等やむを得ない理由により受診した患者であれば休日加算を算定できます。診療時間内に受診した患者については算定できません。

※ 休日当番医(「救急医療等の整備事業について」に規定された医療機関又は自治体等の実施する救急医療対策事業の一環として位置付けられている医療機関)となっている時間帯においては、診療日として届出している場合等であっても、全ての患者に休日加算を算定できます。

※ 小児科特例の場合は診療時間内であれば休日当番医でなくても休日加算を算定できます。

b) 夜間・早朝等加算

○当該休日を休診日として厚生局に届出している場合

 夜間・早朝等加算の算定は原則想定されません。

○当該休日を診療日として厚生局に届出している場合

 表示する診療時間内において夜間・早朝等の時間帯に受診した患者であれば夜間・早朝等加算を算定できます。院内掲示等で診療時間を周知しておきましょう。

※ 休日当番医となっている場合として休日加算を算定する場合は算定できません。

※ 小児科外来診療料、小児かかりつけ診療料を算定する場合や小児科特例の場合は、夜間・早朝等加算を算定できません。

3.算定漏れに注意!時間外緊急院内検査加算、時間外緊急院内画像診断加算

休日加算を算定できる日時に、医師が緊急に検体検査や画像診断の必要性を認めて実施した場合の加算です。算定漏れが目立ちますので、あらためてご確認ください。

①点数の概要

点数名称時間外緊急院内検査加算時間外緊急院内画像診断加算
算定点数200点(1日につき1回)110点(1日につき1回)
算定できる時間帯当該保険医療機関が表示する診療時間以外の時間、休日又は深夜
対象患者入院外の患者であって、医師が緊急に検体検査の必要性を認めて検体検査を実施した患者入院外の患者であって、医師が緊急に画像診断の必要性を認めて画像撮影及び診断を実施した患者
用いる機器当該保険医療機関内に具備されている検査機器等当該保険医療機関に具備されている画像診断機器
併せて算定できない点数等・夜間・早朝等加算 ・外来迅速検体検査加算 (※)・夜間・早朝等加算 ・他の医療機関で撮影されたフィルムを診断した場合は算定不可 (※)

※小児科外来診療料または小児かかりつけ診療料を算定している場合も算定できない。

②よくある質問

【時間外緊急院内検査加算】

(問1)「当該保険医療機関内に具備されている検査機器等」を用いるとのことであるが、例えば、インフルエンザやCOVID-19の抗原定性検査キットを用いて検体検査を行った場合も該当するのか?

(答)該当する。

(問2)院内に具備されている機器を用いて「生体検査(超音波検査や心電図検査など)」を行った場合は算定できるか?

(答)算定できない。

(問3)算定要件では「緊急の場合とは、直ちに何らかの処置・手術等が必要である重篤な患者について、通常の診察のみでは的確な診断が困難であり、かつ、通常の検査体制が整うまで検査の実施を見合わせることができないような場合をいう」と規定されているが、インフルエンザウイルス抗原定性やSARS-CoV-2抗原定性を行った結果、処置や手術を行わない場合であっても算定できるか?

(答)算定できる。(参考:支払基金における審査の一般的な取扱い(医科)の「時間外緊急院内検査加算の算定について」)

【時間外緊急院内画像診断加算】

(問)算定要件では「緊急に画像診断を要する場合とは、直ちに何らかの処置・手術等が必要な患者であって、通常の診察のみでは的確な診断が下せず、なおかつ通常の画像診断が整う時間まで画像診断の実施を見合わせることができないような重篤な場合をいう」と規定されているが、画像診断の結果、処置・手術を行わない場合であっても算定できるか?

(答)算定できる。(参考:支払基金における審査の一般的な取扱い(医科)の「時間外緊急院内画像診断加算の算定について」)

4. 薬剤の長期投与について

 1回14日分の制限がある薬剤(新薬、向精神薬、麻薬など)について、必要最小限の範囲で、1回の処方につき30日分まで投与することが可能です。その場合、レセプトの「摘要」欄(コードあり)および処方せんの「備考」欄に、長期投与の理由(年末年始のため)を記載します。

※ もともと1回30日までとされている薬剤は、30日を超えて投与することはできません。

※ 投与日数に制限のない薬剤は、レセプトの「摘要」欄に注記する必要はありません。医師の予見する範囲で投与することができ、取り扱いは通常とかわりません。