年頭所感

 みなさまに新年のご挨拶を申し上げます。

 昨年は医療界にとって激動の1年となりました。

 6月に施行された診療報酬改定では、2年に1回の診療報酬改定(医療)と3年に1回の介護報酬改定(介護)および障害福祉サービス等報酬改定(障害福祉)が重なり、6年に1度巡って来るトリプル改定の年となりました。診療報酬本体では+0・88%(医科+0・52%、歯科+0・57%、調剤+0・16%)となっていますが、薬価等▲1%を加えると全体▲0・12%となる実質マイナス改定でした。改定におけるマイナス要因の大きなものでは、特定疾患療養管理料から生活習慣病が算定できなくなったことがありました。生活習慣病管理料が取れるとはいえ、月1回のみしか算定できないことは大打撃となります。

 2025年を迎え団塊の世代全員が75歳以上となります。高齢化が進むのと同時に医療・介護ニーズは大幅に増加することが予想されています。一方で少子化が進み、働き手は減少を続けるため社会の形に応じて医療・介護・障害福祉サービスの〝あり方〟が今後重要となってきます。少子高齢化には歯止めがかかりません。昨年1~6月の上半期に生まれた日本人の子ども(出生数)は、32万9998人であると厚生労働省が発表していることから今年度の出生数は70万人を下回る事が予想されます。この人口の減少は今から20年後、30年後の働き手の大きな減少を示しています。この出生数の低下は、今まで厚生労働省が予測していた出生数低下の予想を大きく下回るものであります。

 12月2日からは保険証の新規発行が中止となりました。以前より当協会では保険証とマイナンバーカードの併存、保険証の存続を訴えてきましたがその声は届きませんでした。東京保険医協会が提訴した「オンライン資格確認義務不存在確認等請求訴訟」に、当協会の一部の会員も原告団一員となり、訴訟の行方を見守ってきましたが、昨年11月29日に判決が下り敗訴となりました。しかし東京保険医協会は控訴の手続きを進め、保険医医療機関に対するオン資「義務化」撤回の闘いを続けてゆく事が決まりました。今後の経過を見守っていきたいと思います。

 当協会で実施したオンライン資格確認におけるトラブルアンケートでは、「氏名や住所において●が出現し確認できない」「資格を持っているという患者さんの資格が確認できない」等多くのトラブルの声が寄せられています。今後もトラブルは続くと考えられ、保険証が完全に使えなくなる今年12月にはより多くのトラブルが出てくることが予想されます。今後は保険証の復活も協会の運動方針のひとつとして、実現に向け厚生労働省に呼びかけていきたいと考えています。

 私たち群馬県保険医協会は、すべての医師が、今までのように安定した医療を患者さんに提供できる環境を整えるため、これからも活動していきます。

 本年も群馬県保険医協会を、どうぞよろしくお願いいたします。

(会長 小澤聖史)