みなさまに新年のご挨拶を申し上げます。

 昨年も、医療界では多くの課題が浮き彫りになりました。

 令和7年12月1日をもって、従来の健康保険証は有効期限を迎え、翌2日からはマイナンバーカードを健康保険証として登録した「マイナ保険証」による保険資格確認へ一本化されました。しかし、マイナンバーカードを保険証として利用登録していない方も一定数おり、その場合には代替として「資格確認書」が発行されています。資格確認書の有効期限は、保険者が5年以内の範囲で設定します。一方、マイナ保険証を持つ方に送付される「資格情報のお知らせ」は、マイナンバーカード本体とセットで使用することが前提で、単独では資格確認ができません。このため、医療機関の窓口では受診時の混乱が生じ、負担が増加しています。

 また、医療用医薬品から一般用医薬品への転用、いわゆるOTC 化の進展も看過できません。政府はセルフメディケーション推進の観点から軽微な疾患への市販薬利用を促していますが、成分が重複する処方薬の保険適用除外が検討される可能性もあり、患者負担の増加が懸念されます。さらにOTC化が進めば、入院患者への処方が困難になるうえ、混合診療につながる恐れもあり、臨床現場への影響は大きな問題です。

 加えて、出産費用の公的保険化の議論も進行しています。通常分娩費用に対する新たな給付枠組みを設け、現行の出産育児一時金(原則50万円)を維持しつつ、現物給付を組み合わせて自己負担の実質ゼロ化を目指す方向性が示されています。しかし、無痛分娩等の扱い、給付範囲の詳細、財源確保など、制度設計にはなお多くの課題が残されています。

 さらに、医療機関の経営悪化は深刻さを増しています。物価・人件費上昇に診療報酬が追いつかず、多くの病院・診療所が赤字に転落しています。日本医師会が実施した令和7年診療所緊急経営調査では、令和5年度から6年度にかけて利益率が大幅に悪化し、39.2%が赤字となっており、近いうちに廃業を検討している診療所が14%に達するとの結果が示されています。このままでは、医療保険制度が維持されても受診できる医療機関がないという事態に陥る恐れすらあります。

 本年の診療報酬改定は、今後の医療提供体制の行方を左右する重要な転換点となる可能性があります。群馬県保険医協会は、引き続き診療報酬の10%引き上げを強く求めるとともに、医師・歯科医師が安定して医療を提供し続けられる環境を守るため、活動を継続してまいります。

 本年も群馬県保険医協会を、どうぞよろしくお願い申し上げます。

(会長 小澤聖史)